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野田聖子さんインタビュー全文(3)血のつがなりなくとも母親は私

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 ――(卵子提供による体外受精で)生まれてくる子と野田さんには血のつながりがないわけですが、そのことに、こだわりはなかったのですか。

 野田 いえ、すごくありました。でも、それはしようがないものと悟りました。私の血がどれだけのものか、って。ノーベル賞をとったとか、オリンピックで金メダルをとったとか、そういう才能の持ち主であれば別ですが、普通の人間ですから。とくに私の血がどうしても必要というわけではない。

 私の家を、お墓とか、先祖からのつながりを継承してくれる人がいればいいわけで、私の血である必要はない。

 ――家のことはともかく、ご自身の問題としてはどうですか。

 野田 私と血がつながった子をもうけることは、私の年齢では不可能なことです。人間にはできないことがたくさんあるから、そこに拘泥してもしようがない。

 最大限、子宮という残存能力を生かして、受精卵を入れて着床させて、へその緒を通じて育てる、私はもうこれだけで十分、母親になれたと思う。私がここで、食べることをボイコットしたら、彼(子供)は死んでしまうわけだから。最初はどこまで母親の自覚が生まれてくるかなと思ったけれど、今はもうなんの迷いもなく、この子の母親は私だと言える自信があります。

 ――卵子提供者には、国籍などの条件をつけなかったそうですが、これはどのような気持ちからですか。

 野田 AID(精子提供による人工授精)もそうですが、こうした不妊治療には出自の問題があります。AIDは戦後に始まり、事実を隠して行われてきました。少子化のこの国で、子供を増やすことは並大抵のことではなく、普通に自然妊娠する率も下がってきます。それを補うために体外受精や、卵子提供、代理母なども行われる時に、どんな出自でも、「子供は子供だよ」と言える社会が望まれます。

 卵子を選ぶというのは、子供を自分に似せるということです。私の場合は似せたところで隠せない。公表して、子供も物心ついたら本当のことを言って育てていくしかないと思っていたから、見た目のことにこだわる必要がない。子供には、幼いうちから本当のことを伝え、隠し事をしないことで本当の親子関係を作っていくことが大事だと思います。

 ――お子さんにはすべて話して育てようということですね?

 野田 そうです。

 ――卵子提供者と話はされましたか。

 野田 それはできないルールになっていて、彼女がどんな女性かわからない。子供の時の写真しか見せてもらえなかったのですが、それでいいと思います。誰かまったくわからないから、第三者の介入なしに、私たち家族だけで築けるものがあると思う。

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