元プロレスラー アントニオ猪木さん(67)
一病息災
[元プロレスラー アントニオ猪木さん]糖尿病(1)39歳で異変 医師が引退勧告
「燃える闘魂」と呼ばれ、プロレスの黄金時代を築き、1998年に現役を退いてから10年余り。赤のストールを身に着けて現れると、「元気ですかー!」と声を張り上げ、居並ぶ人のほおを平手打ちして気合を入れるパフォーマンスは、多くのファンをわかせる。
鍛えた体は病気とは無縁に見えるが、30年近く付き合い続けている持病がある。糖尿病だ。
異変の前兆は、現役で脂の乗っていた39歳の時、興行で行った中東のドバイで初めて感じた。「体のだるさが抜けず、しきりにのどが渇いた。暑さのせいと思って、冷たい水を飲んでも、すぐにまたのどが渇いた」
その後、韓国の済州島を訪れた時には、風邪をひいた。すぐに治ると軽く考えていたが、なかなか熱が下がらない。
帰国後、かかりつけの医師に診てもらうと、糖尿病ではないかと指摘された。「まさか俺が……」と頭の中は混乱したが、血糖値を測ると、590(ミリ・グラム/デシ・リットル)。正常値(110未満)をはるかに超えていた。
脱水や意識混濁などの危険性が高まる状態で、リングに立つことはとても無理。大学病院に緊急入院し、医師には選手生活はあきらめるように告げられた。「俺はもう終わりか……」
「引退」の二文字が頭をよぎり、打ちのめされるような思いだった。
【関連記事】