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[認知症と向き合う](5)対応のヒント与える見立て
今回は、認知症に関する医療の見立ての基本について考えていきたいと思います。「中核症状」「周辺症状」という言葉の意味についてです。
まず、中核症状とは何か。認知症に伴って脳の障害が起きますが、その障害が直接の原因だと想定されるような症状のことです。認知症の原因となっている疾患によって、中核症状の内容は異なります。
最も多いとされるアルツハイマー型認知症では、中核症状に「記憶障害」が含まれます。次いで多いと言われるレビー小体型認知症は、幻を見たり、体の動きに障害があったりするのですが、この中核症状には「幻視」が含まれます。
一方、周辺症状とは、この中核症状が原因で起きてくる症状のことです。例えば、アルツハイマー型認知症では、記憶障害がもとで生じる「物とられ妄想」などがあります。レビー小体型認知症では、覚醒(かくせい)の程度(意識のレベル)が日中でも変動するような「注意障害」を本体とする、見かけ上の「記憶障害」もあるかもしれません。従って、二次的な症状については、その解決に向けたかかわり方や、時には薬を使った介入方法などが考えられます。
根っこの部分には脳の障害があると理解できれば、そこから生じる周辺症状の表れる理由も自然にわかることが多いのです。だから周辺症状を「理解すべき対象」であるという見方もできます。
中核症状は、絶対治らないというわけではありません。確かにアルツハイマー型認知症の「記憶障害」は、現在は治らないのですが、レビー小体型認知症の「幻視」は、薬の調整によっては治る場合もあります。こういう見立ては、我々に何をすべきかのヒントを与えてくれます。(木之下徹、「こだまクリニック」院長)
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