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シリーズ痛み 続・私の物語

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さかもと未明さんが語る (2) 体は不自由、でも心は「ラク」に

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「だめなお姉さん」になって気づいたこと

 ずっと一人だと思っていたけれど、それは違っていました。病気だとわかり、周囲に伝えると、多くの人が手をさしのべてくれました。みんな何のトクもしないのよ。なのに、助けてくれる。これまでもそう、たくさんの人に支えてもらっていたと気づきました。

 アシスタントや秘書のみんなは、仕事だけじゃない、今は、身の回りのことも支えてくれている。私、本当に動作が緩くなっているから。痛いし、手足の関節がうまく動かないから着替えも一苦労。1時間以上かかってしまいます。やっと着替えられたら、すぐには動けない。いったんソファで休まなきゃいけないの。ちょっと手をのばしたらとれそうな棚の上の広辞苑もとることができない。

 そんな「だめなお姉さん」なんですけど、周囲との関係はものすごく良くなりました。以前は、自分が何でもできるものだから、アシスタントのミスを見つけては、 「ダメでしょ」ってしかっていました。仕事中は一切、無駄話なんてしません。みんな怖いから言いたいことも言えなかったよね。

 でも、自分が出来ないことが増えたら、ものすごくゆるんだの。くだらない話もいっぱいするようになった。あ、もちろんたまには、「ダメでしょ」って怒ることもしちゃうよ。

 でも、彼らの力がないとやっていけない、ということにようやく気づいたの。マンガはみんなで力を合わせて作ってきたということが、やっとわかった。もっとみんなに敬意を持つべきだった。謙虚になるべきだった。 

 仕事観もかわりました。前は、上ばかり見ていました。知名度をあげよう、稼ごうって。だから仕事は、ギャラや媒体の大きさで選んでいました。でも、今は、自分が自分がという気持ちはないの。ただひたすらにいい仕事をしていきたいと強く思ってる。どん底の人に「大丈夫だよ」と寄り添いたい、力が出るような言葉を紡いでいきたいということを考えるようになりました。だから、どんなに小さなお仕事でも、ギャラが安くてもそんな気持ちが伝わるのであれば、嬉しいと思ってやっています。

病気を知って自分を許せた

 病気になって体は不自由になったけれど、心はラクになりました。自分を許せるようになったから。膠原病の症状の一つとして、日光(紫外線)に過敏になることがあります。私の場合、若い頃からせっかく友人が南の島やスキーに連れて行ってくれても、必ず気分が悪くて寝込んでしまっていました。恋人とけんかになるなど周りの人を傷つけてしまったこともあります。そのたびに、自分はだめな人間だと激しく落ち込みました。でもね、もしかしたら、それは病気のせいだったのかもしれない、と気づいてからラクになりました。

 あとはね、ムリしなくなった!病気とわかる前は、旅行にいけば「見聞を広げるため精力的に動かなきゃ」と思ったし、疲れたときは「もっと体を鍛えなきゃ」と頑張ろうとした。でも、病気だからムリしない、と思えることでラクになりました。周りもそれを理解してくれる。それが一番有り難いですね。ムリに私に団体行動に入れようとせず、私のために誰かが何かを我慢しないでくれるのが嬉しい。

 今はアシスタントの子たちと旅行にいっても、「私はここで待っているから、みんなでいってらっしゃい」って途中で待っていることが出来るようになりました。

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