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石井苗子の健康術

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乳がんになったから、社会に出ようと思った

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(がんになった後の社会復帰を支援する運動が高まっていますが、“乳がんになったから”社会に出ようとは、どういう意味でしょうか)


 最近、がんになった後の女性の職場復帰を支援するCMがテレビで流れることがあります。治療後に職場復帰が難しいという問題は現実的です。企業側の言い分としては、手術前のような無理は効かないから仕事量が減る、再発の恐れなど精神的に不安定な人も多いなどの理由から、賃金をカットしたい、なるべくなら辞めてほしい、中には、命を落とさなかっただけでも良かったと黙って静かに退職してほしいとか、周りの従業員の士気を下げるなど、あからさまに排他的になる経営者もいます。

 がんなどの重い病気を体験した人が、その後同じ職場でどう働けるかで企業体質の観察が出来るというものなのですが、企業側にしてみれば、その人だけのために特別な環境を提供するのでは、他とのバランスが取れないという言い分もあるようです。うつ病などの不調を訴える従業員にしても同じことが言えます。

 最近では、乳がん体験者同士が同じ環境で働くことを支援しているNPO団体もあります(代表:桜井なおみ・活動プロジェクト名「ホープ」)。どんな環境が良いか、どんなコミュニケーションが必要かなどを考えながら、乳がん体験者だけが働く環境を作っていく。体験者だからこそ出来ることもあるという考え方です。しかし健康状態が偏っている従業員だけを集める企業というものに抵抗もあるでしょうし、この不況の中で甘えているのではないかという批判も聞こえます。成長していくには大きな努力も必要でしょう。

 しかし、ここに来て、不思議な現象が起きてきています。

 乳がんにかかりやすいのは40代から50代です。これまで母親だったり主婦だったりして働いたことがなかった女性たちが、乳がんの治療を受けて初めて働くことや社会貢献に目覚めたと言う現象です。

 賃金が安くても、社会的な圧力があっても、女性が女性のために働きやすい職場を作っていく。病の体験を通して、初めて自分の人生を考え直すきっかけが出来たという考え方なのです。

 「がんになってみて初めて働くということをしてみようかと思いました」という発想は、思いもよらなかった展開ですが、きっと大きな社会的パワーとなっていくと私は期待しています。

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石井苗子さん顔87

石井苗子(いしい・みつこ)

誕生日: 1954年2月25日

出身地: 東京都

職業:女優・ヘルスケアカウンセラー

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1件 のコメント

乳がんの治療中の女性の声

乳がん患者の声

記事を興味深く読ませていただきました。 乳がん治療で入院中、同じ病の40代女性達との話の中で「入院中が一番楽だわ。」と言っていたのが今も忘れられ...

記事を興味深く読ませていただきました。

乳がん治療で入院中、同じ病の40代女性達との話の中で「入院中が一番楽だわ。」と言っていたのが今も忘れられません。


ある女性は「このまま逃げ出したい。でも、どこにも行くとこないし、家に帰るしかないのよね。」とも。40代の女性は子育て、夫の世話、家事に追われて自分の事はいつも後回し。自分の命に直面した時、病気になって初めて「自分」を意識するチャンスが与えられたと考える人も少なくないようです。


日本の女性は負荷がかかりすぎている現状があると思います。家族生活は夫婦で作りあげていくものであって、今は女性にすべて男性が甘えています。夫も子育てと家事をし、夫自ら夫婦だけの時間持つことも意識しなければ、女性はいつも心に不平不満を持ち「このまま私の人生は終わってよいのだろうか」と心の溝は深くなるばかり。


乳がん患者に「あなたは何故乳がんになったと思いますか?」の問いに、ほとんどの女性が「ストレスのせい」と答えています。

こんな女性を見ていたら、10代、20代は結婚生活に魅力を感じないのは当たり前です。


まずは「夫」の意識で女性や社会は大きくかわるのではないでしょうか。

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