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いきいき快適生活

介護・シニア

ハンドル形の電動車いす、目立つ事故

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半年ごと操作能力確認を

 足腰の弱くなったお年寄りらの外出に利用されている、ハンドルで操作するタイプの電動車いす。免許が不要で操作が簡単なことから普及が進む反面、事故も目立つようになった。注意力や判断力の衰えがないか、定期的に確認することが大切だ。

 東京都内で一人暮らしをする男性(78)は、買い物や通院などで、毎日のようにハンドル形の電動車いすを使う。呼吸器系の病気で酸素ボンベが手放せず、長時間の歩行が難しくなった4年前から使い始めた。原付きバイクのように、いすに座ってハンドルを操作して、手元のレバーを押せば進み、離せば止まる仕組み。レンタル料は介護保険が適用され、この男性は月2500円で借りている。

 「電動車いすがなければ、どこへも行けない」と男性は話す。ただ、段差で横転しそうになったり、飛び出した子どもと衝突しそうになったりした経験もあり、「傾斜や段差の少ない広い歩道を走るようにしている」という。

 ハンドル形電動車いすは道路交通法で歩行者と同様に扱われ、歩道や路側帯を通行する。最高で時速6キロ。メーカーでつくる電動車いす安全普及協会のまとめでは、年間の出荷は約1万7000台。

 独立行政法人の製品評価技術基盤機構によると、ハンドル形の電動車いすの事故は2005~09年度に計67件報告され、うち死亡事故は20件あった。操作ミスによる転倒、あぜ道や河川敷での転落など、不注意や誤使用による単独事故が目立つ。

 こうした状況を受け、福祉用具の情報を提供する財団法人テクノエイド協会は昨年、使い方の手引を作成。走行ルートや本人の操作能力を確認する「適合チェックリスト」を盛り込んだ。これを使って、本人、家族、ケアマネジャー、レンタル事業所の福祉用具専門相談員の4者が、客観的に評価することを促している。

 かかりつけ医などに意見を求めることや、加齢による衰えなどがあった場合などに、評価し直すことも大切だ。同協会の五島清国さんは「6か月に1度は、操作能力の低下がないかチェックを。慣れない道では事故の危険が高まるため、あらかじめ決めたルート以外を走っていないかも確認しましょう」と勧める。

 電動車いすは原則、介護保険で要介護2以上なら1割負担で借りられる。福祉用具レンタル会社のヤマシタコーポレーションでは、納品前、利用者に走行ルートを試乗してもらうほか、3か月ごとに製品の点検などを行う。同社の福祉用具専門相談員は「状況によっては貸し出しをお断りする場合もある。要介護3以上になると的確な操作が難しくなるケースが多いようです」と話す。

 また、経済産業省は昨年12月、新たにハンドル形電動車いすに限定したJIS(日本工業規格)を制定。斜面や段差での安定性に関する基準を従来の電動車いすのJISより厳しくした。すでに、新規格の製品も登場している。

 電動車いすの安全講習会を開く全国介護者支援協議会会長の上原喜光さんは「電動車いすを上手に利用すれば生活の質が向上する。操作能力は本人が大丈夫と思っていても、周囲が客観的に見極めることが大切」と話している。

【ハンドル形電動車いすの操作能力をチェックする項目の一例】


(試乗の上、×不可能、△不確実、○確実で評価、テクノエイド協会作成)

〈1〉車幅の感覚 〈2〉歩行者の回避
〈3〉交差点での一時停止や左右確認〈4〉右側通行 〈5〉横断歩道の通過
〈6〉自動ドアの通過〈7〉エレベーターの出入り
〈8〉坂道の上り下り 〈9〉保管場所からの出し入れ
〈10〉充電の管理
◎詳細は、テクノエイド協会のホームページ
http://www.techno-aids.or.jp)に掲載。

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