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医療部発

コラム

伝えたい気持ちがそこにある

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 私たちはふだん、言葉をしゃべったり字を書いたり、ジェスチャーをしたりして意思を伝え合っています。けがや病気のために動けずしゃべれない状態となり、コミュニケーションが取れない人たちは、どのように意思を伝えるのでしょうか。

 わずかに動く頭や指、あるいはまばたきなどを使って言葉を入力し、それを読み上げてくれる「意思伝達装置」によって、気持ちを伝える。これが一つの方法です。

 残念なことに、意思伝達装置の存在はそれほど広く知られていないようです。

 装置の普及、認知度の向上に取り組んでいる石川県の特別支援学校教諭、山元加津子さん(53、写真)は言います。

 「ある時、脳障害で弟が倒れ、9年間コミュニケーションが取れていないという人と話をしました。聞いてみると、実は弟さんは手も動き、まばたきもできると言うのです。泣けました。なぜそんなことがあるのか、と」

 手が動くのなら、装置を使って意思を伝えることができたかもしれません。この9年間には、気づかれなかった思いが山ほどあったかもしれません。

 「でも、誰を責めることもできません。装置があることを知らなければ、調べることもできないのですから」と話す山元さん。

 山元さんの同僚も2009年に脳幹出血で倒れました。危篤状態は脱したものの、動くこともしゃべることもままならない状態が続いています。それでも、意思伝達装置を使って思いをしっかりと伝えられているそうです。

 気持ちが伝えられずにいる人、その気持ちを聞き届けたい人。「みんなが気持ちを伝え合えるようになってほしい」という山元さんの願いが、意思伝達装置を必要としている(そしてその存在をまだ知らない)多くの人たちに届けば、と思います。(新井 庸夫)

 山元さんらによる意思伝達装置に関するホームページ「おはなしだいすき」 http://ohanashi-daisuki.com/

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医療部発12最終300-300

読売新聞東京本社編集局 医療部

1997年に、医療分野を専門に取材する部署としてスタート。2013年4月に部の名称が「医療情報部」から「医療部」に変りました。長期連載「医療ルネサンス」の反響などについて、医療部の記者が交替で執筆します。

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