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いきいき快適生活

介護・シニア

[認知症と向き合う](4)体調に左右されやすい

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 暑い日が続きます。

 ある方が、スイッチの入っていないテレビを指さしながら、「ほら、たくさんの人々が映ってるよ」と不安交じりに大きな声で言い始めました。ところが、家族にはそんな人は見えません。ふだん私たちが定期的に訪問診療をしているお宅で起きたことです。そこで、心配した家族から私どものところに連絡が入りました。

 「散歩から帰ってきてから、唐突にとんちんかんなことを言いだしたんです」

 意識の明瞭(めいりょう)さが落ち、周りの人には理解されにくい言動をする「せん妄」という状態だと、私は思いました。その日はとても暑かったのです。

 細かく尋ねると、外が暑くて体温が上がり、体調も優れないということで、熱中症が疑われました。そこで、熱中症への対応を家族にしていただきました。しばらくすると本人の不機嫌は治まりました。同時に、テレビの中の大勢の人々もいなくなりました。

 今回の話では、認知症の症状は、体調にとても左右されやすいということをお伝えしたかったのです。仮に、いつも幻が見えている方でも、その幻の内容が急に変化したような時には、私はまず体調をお尋ねします。しばしば、風邪のひき始め、便秘、脱水といった状態が見受けられます。

 認知症になると、自身の体調管理や体温調節が苦手になり、それをうまく周囲に伝えることもできなくなりがちです。急に不機嫌になったり、つじつまの合わない話をし始めたりするなど認知症の症状で急な変化が起こった場合は、緊急を要する脳の異常の場合もありますが、体調の不具合であることも多いのです。これからの季節、熱中症や脱水にも十分、気をつけるようにしてください。(木之下徹、「こだまクリニック」院長)

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