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パネルディスカッション (1) 各国の利点、積極取り入れを

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読売北海道 医療フォーラム

学校法人順天堂理事長 小川秀興(おがわ・ひでおき)氏
 1966年順天堂大医学部卒。2000年同大学長、2004年から現職。アジア・太平洋諸国約30か国で約800人の皮膚科、アレルギー科専門医を育成。
東京医科歯科大医学部付属病院長 坂本徹(さかもと・とおる)氏
 1971年東京医科歯科大医学部卒。2004年から現職。日本胸部外科学会監事、日本心臓血管外科学会評議員。
青柳皮膚科医院長 青柳俊(あおやぎ・たかし)氏
 1967年北海道大医学部卒。米マイアミ大医学部皮膚科研究員などを経て、86年から北海道小樽市で皮膚科医院を開業。日本医師会副会長などを歴任。
小樽商科大商学部教授 片桐由喜(かたぎり・ゆき)氏
 1989年北海道大法学部卒。95年小樽商大助教授、2005年から現職。専攻は社会保障法。北海道地方社会保険医療協議会委員。
コーディネーター 田中秀一(たなか・ひでかず) 読売新聞東京本社医療情報部長


 田中 医師不足や医師教育にどう取り組んでいるか。

 医学部の定員増が急務


 小川 経済協力開発機構(OECD)のデータをみると、日本の人口1000人あたりの医師の数は2・1人。加盟30か国中、27位だ。先進7か国(G7)平均は2・8人、OECD平均は3・1人だから非常に少ない。これをどう平均に近づけていくか。その一つは医学部の定員増だ。2000~07年の間、医学部定員の合計は7600人余で横ばいだったが、今年度は1300人増えている。各大学の医学部定員は、1学年で100人程度だが、これを125人にすればG7平均並みとなる。

 ただ、医師の数をやみくもに増やすだけでは、質が保証できない。それに応じた教育費を投じ、高いレベルの医学教育を施していく必要がある。日本は国内総生産(GDP)に占める高等教育費が0・5%で、データがあるOECD28か国中の最下位だ。

 激務支える患者の感謝


 坂本 日本外科学会の会員数はここ十数年、ほぼ横ばいだが、病院勤務の一般の外科医や、消化器外科など特定分野の医師が急減している。日本胸部外科学会や日本消化器外科学会の調査では、若手医師の多くが、1週間に通常の法定労働時間の1・5倍となる60時間以上働いている。100時間前後働く医師もいる。そんな中、自分の手術で助かった患者さんから「ありがとう」と声をかけられることは大きな励みだ。

 しかし、いつまでも医師の過度な頑張りに依存できない。医療機器の整備や指導医の充実などに財政措置を講じていく必要がある。

 医療行為は、医師と患者が互いに協力して初めて成り立つ。「ありがとう」「すみません」という言葉が、日本でも失われつつある。その大切さを医学生の教育でも伝えていきたい。

 青柳 北海道の医療の現状と問題点を提示したい。北海道の医師数は人口10万人当たり224人で、人口がほぼ同じ兵庫県の220人と同水準。だが兵庫は岡山、大阪という隣接する府県があるが、北海道にはない。面積当たりの医師数では兵庫の10分の1だ。また、札幌圏に全人口の約40%が集まり全医師の50%超が集中している。

 問題は、地方都市の人口減少が激しく、高齢化が急速に進む社会構造の変化に対し、グランドデザインを国や自治体が描き切れていないこと。その中で医療分野を語る難しさがある。

 地域の病院は、患者が減り収支が悪くなると、小児科医や産婦人科医を減らしてきた。私は、こうした医療は、警察や消防と同等の公共サービスだと思う。地方の自治体病院には、不採算医療として積極的に公的資金を投入すべきだ。

 片桐 日本の医療制度は、国民皆保険と自由開業医制という柱からなる。国民皆保険といいながら、医療へのアクセス度が居住地域によって異なり、近所に病院がない不便を地方住民が強いられているのが、過疎医療の問題である。自由開業医制は、医師に対しどこで何科を標榜(ひょうぼう)するかの自由を保障する。これが医療供給偏在の原因の一つともいわれる。

 医療の偏在を解消するために、イギリスやドイツは地域における医師数や標榜科目を制限している。これに対しアメリカは、研修医に地域医療への動機付けを与える、いわば「太陽政策」を採用している。ヨーロッパ方式は日本では、医師や看護師の居住・営業の自由を侵害するとして強い反発がある。他方、アメリカ方式では現状解決が厳しいと指摘される。アメリカは次善の策として、医療行為ができる医療補助職を養成・活用している。各国の良い点を積極的に取り入れる姿勢は必要だ。

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