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対談 (2) 「蚊が飛ぶ目の病気」

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医療ルネサンス 名古屋フォーラム


 田中 目の病気は、緑内障、白内障、加齢黄斑変性以外にもたくさんあります。中高年になってから気をつけなければいけない目の病気には、ほかにどんなものがありますか。

 大鹿 中途失明の原因は、緑内障に続いて、糖尿病網膜症が第2位です。糖尿病で眼底出血して見えなくなる。糖尿病も緑内障と同様に、なかなか気がつかない。眼科の検査で、眼底の出血が見つかり、初めて糖尿病が発見されるケースもあります。毎年、眼底検査受ける必要はありませんが、40歳過ぎて1回受け、なんともなければ次は5年後でもいいかもしれません。例えば緑内障の場合、家族の中に緑内障の方がいる場合は危険性が高くなります。糖尿病も家族内にそういう病気の方がいるなら、きちんと1回は受けておく必要があると思います。

 田中 血糖値が高い方は注意が必要ということでしょうか。

 大鹿 もちろんそうですが、血糖値は普段からあまり検査することはないので、気がついていない方もいる。

 田中 飛蚊症という病気があります。蚊が飛んでいるように見えるとのことですが、どんな病気でしょうか。

 大鹿 蚊みたいなのが飛んでうっとうしい病気です。目を動かすとついてくる。一つだったのが二つになったりする。しかし、10人のうち9人の場合はほとんど問題ありません。生理的飛蚊症といって、目の硝子体にちょっとした濁りがあって、それが光の影として映っている。すぐにはなくならないが、やがて薄くなり、気にならなくなることが多い。ただ、10人のうち1人ぐらいで、網膜剥離の前ぶれということがあります。そこで、眼底検査をして網膜に穴があいていたら、ちゃんと治療して、網膜剥離を防ぐ必要があります。

 田中 最近、パソコンが普及してきたせいか、ドライアイでつらいと訴える人も多い。原因と対処法をうかがいたい。

 安間 パソコンやテレビなどを一生懸命見ていると、まばたきが減り、ドライアイの症状が強くなります。治療では涙の代わりになる成分が入った目薬を点眼するのが効果的です。ただし防腐剤が入っている目薬を習慣的に差し続けると、目に障害が出る恐れがあります。防腐剤が入っていない目薬を使うことも必要です。

 田中 なるべく涙を流すようにすればいいんですか。

 安間 涙の成分もいろいろあり、脂分が一番上に乗っています。脂のおかげで乾かないんですが、悲しいときに泣く涙は液体部分が非常に多いので、泣いたからといって乾燥しないわけでもないでしょう。

 大鹿 目から涙の蒸発を少なくする方法があります。冬は乾燥しますから、加湿器で部屋の湿度を上げる。夏は、クーラーの風が直接顔に当たると、すごく乾くので、当たらないように気をつける。人間の目は上を見る時に大きく開きます。パソコンとかテレビが高い位置にあると、ずっと上を見ているので、乾くんですね。画面は低いところに置きましょう。映画館に行ったら、後ろに座ってください。また、じっと画面を見ているとまばたきが減り、乾燥するので、気をつけましょう。

 田中 そのほかに注意しなければいけない目の病気はありますか。

 大鹿 怖い病気では、網膜の血管が詰まる病気があります。脳梗塞、心筋梗塞と同じことですから、目だけの注意ではなくて、動脈硬化にならないように、野菜を食べるなど健康的な生活をすることが非常に重要です。白内障もそうですが、それだけを防ぐ方法はありません。老化が絡んでいることが多いので、健康的な生活を心がける、若々しく生きることだと思います。

 田中 目の病気を防ぐ生活というお話が出たので、そのお話を深めていきたい。日常生活で予防できる知恵というのがどんなものがありますか。白内障に強い光は良くないということでしたが、サングラスを使えばいいのでしょうか。

 安間 人間の見ることのできる光は、約350ナノメーターから750ナノメーターの光ですが、目に危ないのは、500ナノメーター以下の青い方の光ですね。700以上の赤い光も、熱を持つので危ない。人間の目に一番いい光は、その間の約500ナノメーターから700ナノメーターです。サングラスはせいぜい光の80%ぐらいしかカットしません。しかし、まぶしくはなくなるので、目を大きく開きます。すると、網膜に直接、光が当たってしまいます。人間に危険な短い波長、長い波長の光をカットするようなサングラスが望ましい。エスキモーは鯨の骨に横にスリットの入った眼鏡をかけています。太陽の光も雪の反射光もさえぎってくれます。生活の知恵ですね。

 田中 どのようなサングラスを選ぶといいのですか。

 安間 青系の短い波長をカットするとなると、赤系や茶系のサングラスになります。全体的にカットする灰色のサングラスもいいでしょう。

 田中 食生活を含めた目の病気の予防の知恵を教えて下さい。

 大鹿 サプリメントは、それに頼るのではなく、補助的なものだと考えてください。病気のことを調べていると、昔からの日本的な食事は非常にいいということが判ります。魚と野菜をきちんと摂ること、バランス良く摂ることが、非常に重要です。体が酸化すると、色々な病気になるので、抗酸化作用のあるもの、それは黄緑色野菜にいっぱい入っていますから、きちんと摂っていれば、敢えてサプリメントに頼ることもないと思います。「腹八分目」のように、日本人は昔からいいことを言っています。腹一杯食べると糖尿病になったりしますから。敢えて特別なことをしなくても、昔ながらの健康的な生活をすることが基本だと思います。

 田中 どうもありがとうございました。

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