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大腸がんの予防と治療

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鳥越俊太郎さんの体験記 (1) 「手術後1か月でテレビに復帰」

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医療ルネサンス相模原フォーラム


ジャーナリスト 鳥越 俊太郎(とりごえ しゅんたろう)さん
京都大文学部卒。元毎日新聞記者。2005年に大腸がんを発症、その後、肺、肝臓への転移で手術を受ける。テレビのコメンテーターなどとして活躍中。70歳。



 田中 第2部では、実際に大腸がんになられた鳥越さんにご体験を伺いながら、お話を進めたいと思います。

 鳥越さんは、2005年に、直腸がんが見つかって手術を受けられました。その後、2007年に肺に転移が見つかり、2度手術。さらに昨年には肝臓にも転移が見つかって手術と、計4回手術を受けられたと伺っております。そのご体験を踏まえて、どのようにがんと向き合っていったらいいかというお話をまずしていただこうと思います。

 鳥越 私の大腸がんのステージは、肺などに遠隔転移しているので、最も厳しい「4期」ということになります。最初に申し上げておきますが、大腸がんのステージ4期の患者が、70歳になってもこうして元気でいます。私がここにいるということ自体が、大腸がんに今のところ負けていないということです。会場の皆さんの中にも大腸がんの手術をされた方、そういう心配をお持ちの方が、いっぱいいらっしゃると思いますが、大腸がんというのはほかのがんに比べ、ちゃんとした処置をすれば、必ずしも、「がん即、死」を意味するわけではないのです。人間は100%だれもが死を迎えるわけですけれども、大腸がんイコール死では必ずしもないということは、私を見ればおわかりだと思います。

 私の大腸がんの手術をしたのは沢田先生です。(拍手)

 人間ドックで検便をしたところ、潜血反応があり、要精密検査といわれ、大腸の内視鏡検査をしました。検査中、自分でモニターを見ていましたけれども、腸の中はほんとうにピンクで、とってもきれいに見えるんです。自分の腸の美しさに見ほれておりました。恐らく腹黒い人でも腸はきれいじゃないかと、私は思いますけどね。

 ところが、どんと大きな馬蹄(ばてい)形をした肉の盛り上がったのが出てきまして、内視鏡をやってもらっている内科の先生に、「先生、これ、良性じゃないですよね」と尋ねました。否定してほしかったんですけど、先生は「そうですね。良性じゃありませんね」と事もなげに言われまして、がんだということがわかりました。私の場合はがんの告知というのは受けておりません。目撃したのです。そのまま自動的に消化器外科のほうに回されまして、沢田先生と対面ということになりました。

 手術前日の2005年10月5日、先生の診察室に、私、私の妻、娘2人の計4人が集まりまして、先生からとても懇切丁寧な説明をいただき、「S状結腸の下あたりの直腸のところに腫瘍(しゅよう)がある。したがって、切除します」と言われました。

 僕は当然切腹、腹を切られるのかと思っていましたが、腹腔(ふくくう)鏡下手術をしますといわれ、腹腔鏡って何ですかと、お聞きしました。そうしたら、おへそのところとおなかの何か所かから、手術器具とカメラを入れて、モニターでおなかの中を見ながら手術をするやり方ですと。正直言ってちょっと不安でしたね。知らなかったものですから、腹腔鏡というのを。

 腹腔鏡や手術器具を入れるために、おなかに差したポート(管)は、私の場合、傷口から見ると計4か所でした。今、裸になって鏡に映してみても、ほとんどその傷口は見えません。5年たつと全部消えてしまうんです。それぐらい、腹腔鏡の手術というのは患者本人にとってはすぐれものですね。

 開腹手術でしたら、僕は去年肝臓の手術をしました。38センチ切りました。今でも鏡を見ると、傷口が残っていますけれども、大腸がんの腹腔鏡下の手術は全然傷口が見えないほどです。したがって、術後の回復も非常に早い。手術から9日ぐらいで退院しました。ただし、腸閉塞(へいそく)になりかかって、退院から3日後に再入院して、また1週間ぐらい入院していましたけれども。

 入院したのが10月3日で、11月の初めにはテレビに復帰しました。大腸がんの手術をしながら、1か月で仕事に復帰したのです。それぐらい腹腔鏡による手術というのは患者にとってプラスが多いということです。開腹したほうがいいんだという先生も、有名な病院でもいらっしゃるようですけれども、私の経験だと腹腔鏡でやったほうがダメージは少ないということですね。

 私の場合は直径3・5センチの腫瘍があり、直腸を20センチ近く切除しております。がんが粘膜下層どころか、腸管を突き破って腹腔内にちょっと顔を出していたそうです。したがって、腹腔内に、がん細胞がばらまかれる可能性があるということで、予防的に抗がん剤を3年飲みました。ただし、髪の毛も抜けず、口内炎もなし、体重も落ちず、食欲不振もなく、抗がん剤の副作用の問題はありませんでした。

 それから、もう一つは排便の問題ですね。これは直腸がんの手術をした場合、必ずつきまとうものです。私の場合は、手術直後半年ぐらいはマグラックスという便をやわらかくする錠剤を飲んでいました。便をためる直腸がなくなりましたので、食べて消化されたものが大腸へおりてきて、横行結腸から下行結腸へおりてきますと、もう便意を催す。我慢できない。したがって、1日に10回ぐらいトイレへ行く。テレビの番組中も、ちょっとVTRが流れている間に走っていってトイレへ行くということは何遍もありました。

 そういう煩わしさはあったんですけれども、一年一年たつごとに便の回数が少なくなってきました。今も一応マグラックスは飲んではいます。がんになる前は、私は軟便、下痢、そして便秘を繰り返すことが多かったんですが、今は毎日、固形のころっとした、ソーセージのもうちょっと大きいくらいの便が必ず出ます。私はその便を毎日見ながら感動しております、自分の便に。ああ、手術してよかったと。便の問題も一応それで解決をしております。

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