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「脳力アップ」そろばん復活

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検定受検者再び増加

 そろばんが「能力開発につながる」と見直されている。塾に子供たちが戻り、検定を受ける人が増加に転じた。授業で力を入れる学校も。読み書きと並び、学習の王道だったそろばん。復活につながっていくのだろうか。(秋田支局 金島弘典)

 秋田市の「田中珠算学校」。夕方、子供たちがそろばんをはじく音であふれる。この3年で子供は倍の約40人になった。小4以下が7割で、幼稚園児もいる。指導する田中満子さん(60)がつまずいている子に要領よく助言。答えが出ると、ニッコリ笑顔が返ってくる。「次はこの見取り算ね」。できる子は学年に関係なく先に進む。

 小4の高島明日美さん(9)は「学校で算数が楽しくなった」と話す。小4の長男を習わせる主婦佐藤晴子さん(38)は「人の話をよく聞くようになった。向上心も身についてきた」と目を細める。田中さんも「習わせる理由に能力アップに役立つことを挙げる親が増えている」と語る。

 大阪府交野(かたの)市の「星の郷総合教室」は幼稚園児から高校生まで約350人が通う。「そろばん日本一」だった金本和祐さん(44)が1999年に始めた時は13人で、「『脳の発達にいい』と通わせる親が急増した。こんなに増えるとは」と驚く。

 日本珠算連盟によると、珠算検定受検者は80年の205万人を境に減少し、2005年に18万人に落ち込んだ。06年から上昇に転じ、09年は21万人。連盟は「脳力トレーニングのブームで、集中力や記憶力の向上に役立つとの考えが広がったことが大きい」と分析する。

 そろばんに関する著書がある久保田競(きそう)・京大名誉教授(認知神経科学)は「暗算は脳の前頭前野を使うため、記憶力や物事を論理的に処理する力を養うことにもつながる」と説明する。

 全国のそろばん生産の7割を占める兵庫県小野市にある製造卸の「ダイイチ」。昨年、5年ぶりに黒字となり、宮永英孝社長は「未就学児童向けに作り替えたそろばんが人気」と話す。

 小3で必修のそろばんは、11年度から小4に拡大される。本格実施前の09年度、珠算関係団体から講師派遣を受けた公立小は3147校に上った。

 京都市の私立立命館小は、2年間で140時間をそろばんに充てる。星の郷総合教室の金本さんが独自テキストを使って指導。教室には答え合わせの児童の列ができ、活気があふれる。

 一方、指導者が高齢化し、担い手不足が課題となっている。同連盟の和久信八常任理事は「日本の教養、文化として再度定着できるよう、人材育成などの対策を急ぎたい」と話している。

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