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医療相談室

視神経部分低形成と言われ、緑内障が心配だが・・・

 階段を下りる時、下が見えないなどの症状があり、緑内障の疑いがあるということで精密検査をしました。その結果「視神経部分低形成で10~20年後に緑内障が合併することがある」と医師に診断されました。1~2年毎に視野検査を受けることを勧められ、1年後に視野検査を予約しました。緑内障は不治の病で失明するというので心配です。(38歳男性)

緑内障と区別がつきにくい病気 定期的な視野検査でチェックを

大鹿哲郎 筑波大病院眼科教授(茨城県つくば市)

 視神経部分低形成は、眼から脳に信号を送っている視神経の一部が未発達で、その部分に対応する視野(見える範囲)が欠けているものです。緑内障とは別の病気で、生まれつきの変化なので視野の欠損は進行しないと考えられており、治療の必要はなく経過を観察します。

 ただし問題は、視神経部分低形成と緑内障の区別が必ずしも簡単ではないということです。視神経の所見や、視野欠損の状態が、2つの病気の間で紛らわしいことが少なくありません。そこで定期的に視野検査を行って、視野欠損が進行しないかどうかチェックします。もし進行するようであれば、緑内障と診断されますので、治療を開始します。

 ここから先は緑内障のお話です。緑内障は日本における中途失明原因の一位ですので、ご心配になる気持ちは良く判ります。たしかに緑内障は、治療によって根治してしまうという疾患ではなく、一生付き合わなければいけません。

 緑内障は、眼圧が原因で視野が次第に欠けていってしまう病気です。視野が欠けてしまった部分は、治療によって元に戻りません。したがって、緑内障の治療は、視野の障害がそれ以上悪化しないように維持することが目的です。

 ただ、ご相談の内容からは、もし緑内障としても初期段階と考えられますので、それほど深刻に考える必要はないと思います。早いうちに発見された初期の緑内障であれば、必要に応じて眼圧を下げる点眼薬などを使用することにより、進行を抑えることが出来ます。

 緑内障は失明原因としては第一位ですが、きちんと治療をして視力を維持している人の方が圧倒的に多数です。定期的な視野検査を欠かさず、また治療が始まったらきちんと継続してください。初期の視野異常は自覚症状がなく、自分ではあまり困っていないので、勝手に受診を中断したり治療を止めてしまったりする方が少なくありません。

 緑内障は長く付き合う病気です。一病息災のつもりで気長に付き合うこと、決して自己判断で受診・治療を中断しないことが大切です。

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