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いきいき快適生活

介護・シニア

[山里通信](10)村の絆 強めるUターン組

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地元特産品コーナーで、食用ほおずきの次はコハゼに力を入れたいと語る斉藤駅長=安斎晃撮影

 「村の食用ほおずきを練り込んだうどんを作ってみました。試食してくれませんか」。秋田県上小阿仁村の村長室で小林宏晨(ひろあき)村長(72)と話し込んでいると、道の駅の斉藤進駅長(62)から電話がかかってきた。

 駅長は、2年前に秋田県内のホテルの支配人を定年退職し、45年ぶりに一人暮らしの母親が住む村に帰ったUターン組だ。

 定年を機に、年老いた親が心配になって少しずつ帰り始めたシニア世代。この人々が触媒になって、村に新しい風が入っている。

 早速、村長と一緒に行って食べたうどんは、ほおずき効果でほんのり黄色になった(めん)に、小さなほおずきの実が三つのせてある。

 「うまい」と村長。「もう少しほおずきの風味が強くていいかも」と私。

 うどんをはさんで村の名物づくり談議が続いた。

 「この春、ほおずきジャムができた。次はすぐに炊ける無洗米の『あきたこまち缶詰』も作ろうと思う。村のいい物を少しでも多く出したいのよ」と駅長。ホテル時代の人脈で商品開発と販路の開拓に駆け回る。

 Uターン組の胎動は女性たちにも起きている。中学の同級生だった小林志美子さん(61)と大城戸ツヤ子さん(61)が去年、東京などから戻り、村に残っていた2人と一緒に、高齢者の生活を支えるNPOを作りたいと準備を始めた。

 久しぶりに再会して以来、村を住みやすくしたいねと話しているうちに「自分たちも何かやろう」と4人の心が一つになったのだ。

 「お年寄りの買い物の代行業というのはどうかしら。一人暮らしのお年寄りを訪問してご用聞きをするの」

 「元気でいるかどうかの確認にもなるわね」

 支え合って暮らしてきた村の(きずな)をもっと強めたいと、こんな議論が続く。どんな展開になるだろうか。

 上小阿仁村に滞在して1か月。そこには、衰退どころか強くやさしく生きる多くの人がいた。誰もが誰かの役に立って暮らしていた。もちろん、農山村の再生は簡単ではない。だが、人々は支え合って力を尽くしている。書ききれなかった人も多かったが、自治の原点を改めて教えてくれた村の人たちに感謝したい。

 村はいま、田植えが終わった頃だろう。また行ってみたい。(おわり)(編集委員 青山彰久)

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