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いきいき快適生活

介護・シニア

[認知症と向き合う](2)まず「おじいちゃん」の視点で

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 ある日の診療風景での会話です。同じセリフですが、どこかが違います。

 まず、あるサラリーマンの場合。最近ストレスが重なり、よく眠れない。寝る前にお酒を飲んでみた。日中にはジョギングもした。しかしだめ。「このままでは倒れてしまう。医者に行こう」。そして医師に言います。「(私が)夜眠れないのです。(私に)何かよい薬はありませんか」

 次は、夜ゴソゴソ起き出す認知症のおじいちゃんとやって来た家族です。その家族は仕事で疲れているのだけれど、心配になって起きてケアをする。それが連日続く。「このままでは倒れてしまう。医者に行こう」。そして医師に言います。「(私が)夜眠れないのです。(おじいちゃんに)何かよい薬はありませんか」

 表面上は同じセリフでも、全く違うのです。認知症の人と共に暮らす家族のセリフを、もう一度読み返してみて下さい。

 薬の恩恵とリスクを受けるのは、それを飲む本人です。今、あなたが知らないうちに睡眠薬を飲まされたとしたらどうでしょうか。そうなんです。後半の話は<自分だったらどうか>という視点がないのです。

 みなさんは眠れない時、まず色々やってみて、最後に医師のところにいくのだと思います。医師もあなたの話を聞いて、一緒に色々考えてくれるでしょう。

 夜、不意におじいちゃんが起き出したら、周りは大変です。しかし、ご本人の視点で考えることとは、それに加えて本人になり変わり、本人の立場になって、色々と物を見、考えることなのだと思うのです。

 認知症のケアをする際には、ぜひ、そうした視点を持って下さい。それは、明日のあなたのためでもあるのです。(木之下徹、「こだまクリニック」院長)

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