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いきいき快適生活

介護・シニア

[読み得・医療&介護]遠距離介護 情報を味方に

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 医療、介護の制度やサービスは複雑で、戸惑うことが多い。いざ必要になった時のために知っておきたい情報を伝える新コーナーの1回目は、「離れて暮らす親を介護する際のコツ」を紹介する。(小山孝、飯田祐子)

 「今日は病院の日だね」

 東京都内に住む会社員高橋英明さん(56)(仮名)は毎朝、通勤電車から鳥取県米子市の実家に暮らす母親(80)に携帯電話でメールを送る。会社に着く頃には返事が届き、元気だとわかる。「母が携帯メールを始めたのは75歳の時。高齢でも案外覚えられるようです」と高橋さんは言う。

 遠距離介護は6年目。当初は要介護3の父親と要支援2の母親の2人暮らしだったが、父親は昨年、施設に入居した。「母の介護疲れが解消されたと思ったら、今度は母の独り暮らしが心配」と苦笑いする。

 帰省は数か月に1回。有給休暇を使い、週末を含めて2泊3日の日程だ。運賃が約35%安く、航空便の変更もできる「介護割引」を使うが、便の変更ができない代わりに割引率が大きいチケットも活用する。

 母親がヘルパーの世話を受けるのを嫌がるのが悩み。しかし、無理強いはせず、気長に説得するつもりだ。

東京に住む娘からの依頼で、竹内要さん(左)のもとを訪れ、話し相手になる「ナルク」の会員たち(大阪府吹田市の「あす~る吹田」で)=守屋由子撮影

 「離れて暮らす親に介護が必要になったら」と不安を抱く人は多い。

 遠距離介護者が集まるNPO法人「パオッコ」(東京、(電)03・5840・9935)理事長の太田差恵子さんは「遠距離介護は金銭的、身体的、精神的負担が大きい。お金の不安は情報不足が原因のことも。まず情報を集めて選択肢を増やすこと」と助言する。遠距離介護のポイントを太田さんにまとめてもらった(表)。

 手始めに親の暮らす市町村から介護保険のパンフレットを入手する。サービス事業所や、費用が高額になった場合の減額制度などの情報が盛り込まれている。地元の地域包括支援センターにも相談するとよい。

 親の収入や財産を知ることも大事だ。親の介護は親のお金で行うことが基本。その上で、きょうだいや親族なども交え、どんな介護をしていくかを話し合う。「一人では無理。チームを作ることが必要です」と太田さん。緊急時はご近所が頼り。帰省の際、近所へのあいさつは重要だ。

 配食や見守りなど、遠距離介護に役立つサービスも充実してきている。介護事業所の中には、緊急対応など、保険外サービスを行うところもある。

 東京都江戸川区の大島貴美子さん(63)は1、2か月に1度、島根県浜田市の母親(89)を訪ねる生活を8年間続けている。独り暮らしの母親の生活を支えているのは地元のNPO法人「あいの会」で、訪問介護以外にも、体調を崩した時の対処や定期的な電話連絡などをしてくれる。「臨機応変な対応が心強い」と大島さん。

 ボランティア活動を行った時間を点数としてためる「時間預託制度」を、離れた親の介護に活用しているのは、東京都国分寺市の宮田和子さん(59)だ。

 全国に約130の拠点を持つNPO法人「ニッポン・アクティブライフ・クラブ(ナルク)」(大阪、(電)06・6941・5448)に10年前から参加。都内でボランティア活動をしてためた点数を使い、大阪府吹田市の施設で暮らす母親の竹内要さん(87)のもとを、現地の会員に訪問してもらっている。宮田さんは「母が楽しく過ごしている様子がわかり、安心です」と話す。

 介護が必要になると仕事を辞めなければと思いがちだが、離職は慎重に。様々なサービスを活用し、多くの人にかかわってもらうことで、遠距離介護を上手に乗り切っている人も多い。

遠距離介護で心がけること
◎地元の介護情報を集める
◎親の収入、財産を把握する
◎介護チームを作る
◎親の望みを知る(子どもの価値観を押しつけない
◎「介護」もさまざま(電話をして精神的に支えることも重要)
◎費用は「介護家計簿」に記録(費用負担を巡るトラブルは多い)
◎無理は禁物(介護する本人の生活も大事)
◎仕事は辞めない(介護は長期戦。本人の生活も困窮する)
(太田さんのアドバイスをもとに作成)
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