安らぎの音
連載・健康プラス
(2)自然音に似た和の響き
波の音、小川のせせらぎ、林をわたる風――。自然の音にリラックス効果があることは、多くの人が実体験から感じている。
最近では、和楽器や風鈴など日本の伝統的な音にもこれに似た効果があることがわかってきた。その秘密は、超音波にある。
日大理工学部と生産工学部の研究によると、人間が聴き取れない周波数(20キロ・ヘルツ以上)の超音波を多く含む自然音を聴くと、リラックスした時に現れる脳波の「α(アルファ)波」が増える。能で使う笛、箏、風鈴の音も超音波が豊富で、7人にそれぞれの音を聴かせた実験で、6~4人のα波が活性化した。別の実験では、超音波を含む能楽の再生音と超音波を除去した再生音を16人に聴かせたところ、超音波を含むほうで12人のα波が増える結果が出た。
「自然と融合する文化を築いてきた日本人は、自然音の効能を感覚的に知っていたのかもしれません」と話すのは、和楽器の音について同大と共同研究する東邦音大講師の田村治美さん。和楽器には、超音波がより増幅される奏法も多く、超音波の存在を意識したかのような音作りがうかがえるという。
田村さんは「日本人は昔から、苦悩や悲しみで荒れた心を安らげ、迷いを消すための手段として、音を位置づけていたのでは」と考えている。
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