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うつと認知症 ~最新の解釈と介護~

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(2)一見、認知症…実はうつ

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ちば健康塾


 最近、「仮性認知症」という言葉が出てきました。一見ぼけの兆候かと思われる言動は実は、うつ病の症状である場合があるという考え方です。

 認知症には、2種類ありまして、脳が萎縮(いしゅく)してしまうアルツハイマー型と脳血管障害をともなうものがあります。この二つがなぜ区別されるかというと、アルツハイマー型はアリセプトという薬が出ていまして進行をある程度止めることができるとされています。脳血管障害の場合は、血管が詰まってしまったり、梗塞(こうそく)をおこしたりしている部分は治りませんのであきらめざるを得ない。

 アルツハイマーの方たちは、治せないのかということが非常に大きな問題になってきます。脳の萎縮を治すことはできません。しかしクオリティー・オブ・ライフ(生活の質)と申しまして、その方の生活の質をあげることができるのではないかという考えが起こってきます。

 そこで出てくるのがこの抑うつ気分というものです。

 アルツハイマー型認知症の40~50%の人が抑うつ気分だということが確認されています。また10~20%の人にはうつ病が合併しているということもわかってきています。

 脳血管障害などには、約30%にうつ病が合併していることがわかってきています。

うつ病になると、認知症になりやすい!?

 ではうつ病になったら認知症になるのかということなんですが、憂うつで落ち込んだご高齢者の方を見ますと、アルツハイマーになりやすいんじゃないかなあと思います。

 そして軽度の認知機能障害になって認知症へと落ち込んでいくので、うつ病を放っておくとですね、軽度認知機能障害になってしまって、どんどん認知症へと転落していくということです。

 うつ病性仮性認知というのがあります。特徴として思考の停止というのがあります。考えが止まってしまいます。またうつ病症状が強くなって、なんにもしたくない、ごはんもいらない、お風呂にも入らないといったような状態になっていきます。注意・集中力や判断力が低下し、認知症ではないかなと周りの人が思うようになってきます。


 ところがこの段階ではまだ、認知症ほど具合が悪くなっていませんので、日にちがわからないとか、計算ができないとかいうわけではないんですね。憂うつになっているだけです。

 だから、検査したら認知症じゃないと言われた、あるいは周りの人が「元気に対応していたよ」と特に問題ないんじゃないのという意見もあって、あれ?と思うわけですね。

 そこで家族は大丈夫なんじゃないのかなと考え直したりするのがこの段階です。

 しかし、この仮性認知症、軽度の認知症に転落する直前です。こちらに、認知症と仮性認知症の違いについて書いてあるのですが、例えば、物忘れの自覚があるのとないのと、物忘れに対する深刻さがあるのとないのがありますね。気分の落ち込みがあるのと少ないのがあります。


 認知症の場合はうつと違いまして、明らかに憂うつそうな顔をしているとか、元気がなくなっちゃうことがあるわけではありません。徘徊(はいかい)したり、大声をだしたり、むしろ活発になってしまう方もいらっしゃいます。

 ところがうつの場合は完全に落ち込みがあるので、完全に思考が停止してしまうし、行動力もなくなってしまいます。認知症に移行していくと、だんだん気分の落ち込みが回復し、一瞬良くなったように思うんですね。ところが認知症は着々と進んでおりまして転落の一途をたどっていくのに気がつかなかったりするわけです。

 うつ病性仮性認知症は、治療薬が有効です。認知症の場合は、抗うつ薬を使ってもあまり効かないとされていますが、うつ病や、うつ病性仮性認知症は回復し得るんです。ですから、抗うつ剤は積極的に使わなくてはなりません。

 そしてどよーんとしたご両親にもう一度元気になっていただいて旅行に行ったり、老後の話を煮詰めたり、遺産はどう分配しようだとか、そういう話もしておくといいんですね。

 放っておけばどんどん移行して認知症になってゆくわけですから。


 いずれ痴呆になってしまって、あなたはどなたですか?と息子さんや娘さんに言うようになってからでは遅いということですね。

 こういったうつ病を改善してよりよき生活を、時間を取り戻すことがクオリティー・オブ・ライフ(生活の質)においては重要だと言われています。

知っていれば役に立つ『がん情報の調べ方・読み方』は4回に分けて掲載しています
(1)がん情報の提供体制が整ってきた(2010年3月1日)
(2)がん診療連携拠点病院の相談支援センターを利用してください(2010年3月2日)
(3)がん診断されると誰しも落ち込むが、立ち直ることができる(2010年3月3日)
(4)家族ががんと診断された時(2010年3月4日)
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