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(5)第2部:パネルディスカッション(下)

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第5回医療機器市民フォーラム

 主催:医機連(医療機器産業連合会)、医療技術産業戦略コンソーシアム(METIS)
 後援:内閣府、厚労省、経産省、文科省

パネリスト  松本 昌泰 氏 (広島大学 医学部医学科長)
 井原 康夫 氏 (同志社大学 生命医科学部 教授)
 樋口 輝彦 氏 (国立精神・神経センター 総長)
コーディネーター  前野 一雄  (読売新聞東京本社 編集委員)

 

アルツハイマー病

 

 【前野】 135 通の質問をいただきました。54 歳の教員の方で、最近記憶力が極端に低下してきました。若年性アルツハイマー痴呆症かと不安です。どのような病院で検査を受ければ良いでしょうか。

 【井原】 2つの学会が、認知症の専門医制度を施行しています。1つは日本認知症学会で、ホームページには各都道府県の専門医が出ています。日本老年精神医学会も専門医の名前が出ています。もし専門医が近くにいなければ、大きな病院の「メモリークリニック」や、「物忘れ外来」などに行かれると良いと思います。

 【前野】 東京都の女性の方です。家族がアルツハイマーの異変に気付いた場合、いつの段階で受診させたらいいのか。本人の気持ちをへこませずに受診させる方法やコツはありますか。

 【井原】 やはり正確な診断が重要です。まれにアルツハイマー病に似た症状で、脳外科的な手術をして良くなるケースがあります。説得して連れていくには、粘り強くやるほかないでしょう。

 【前野】 アルツハイマー型認知症と老人性うつ病の症状が似通っているそうですが。

 【樋口】 老年期に入って記憶力が落ちた、物忘れをするようになった、知的な作業ができなくなったと訴えられる方がいます。仮性痴呆と言います。仮の痴呆(認知症)です。記憶の検査をしても少し落ちてくるところはありますが、うつが良くなると必ず記憶力も戻り、知的作業も普通にできるようになります。

 
井原 康夫さん

 【前野】 東京都の男性の方です。レビー小体型認知症について、治療法などお聞かせください。

 【井原】 脳血管性認知症を除いて、変性性認知症の中ではアルツハイマー病に次いで多い疾患です。症状はアルツハイマー病とそんなに違いませんが、見えないものが見えてくる幻視が出てきます。これが特徴で、被害妄想的なものが相当出ます。保険適応ではありませんが、アリセプトに効果があり、見違えるほど良くなる場合があります。

 【前野】 アリセプトの他には、漢方薬が良いと言われていますね。

 【井原】 周辺症状(BPSD)といって、徘徊や攻撃性など介護で一番困ることです。物忘れは中核症状で、BPSDに比較的効く漢方(抑肝散)が注目されます。先生方と相談されてください。

うつ病

 【前野】 うつ病で休職しています。症状が良くなって薬を止めると副作用が出るのではないか心配です。

 
樋口 輝彦さん

 【樋口】 世界的にも大体共通した認識ですが、良くなってすぐに薬をやめるとぶり返す確率が非常に高いです。良くなってから最低半年近く継続した後、特に症状の再燃等がなければ、そこから徐々に薬をやめていくのがやめ方の原則になります。

 特にSSRI、SNRIは、急にやめると離脱症状といって体の方が色々な反応を起こしてしまいます。例えば発汗、ふらつき、不眠などの症状が2日目位から出ることがあります。病気が悪くなったと誤解される方も多いのですが、そのまま1 週間位すると症状はなくなります。どうしても不安な場合は一度薬を元に戻して、徐々に減らしていくと防ぐことができると思います。

 【前野】 8年前からうつ病と統合失調症で治療しています。2年前からはクリニックに通院していますが、15 種類の薬を服用しています。15 種類という多さに驚きます。

 【樋口】 学会を中心に、できるだけ原則1種類の薬にするよ指導しています。抗うつ薬を1種類、眠れないなら不眠の薬は別に使う、不安がある方は抗不安薬と、1つの効能効果に関して1種類ということですが、まだ定着していないことがあります。

 もう一つは、例えば躁うつ病だけの方と、うつ病だ、統合失調症と、躁うつ病が混じり合ったような方もいます。コントロールが十分うまくいきません。単剤だけでは対応できなくて、数種類の薬を組み合わせて使わざるを得ないこともあります。そういう使い方か、見極めることが必要です。

 【前野】 天気や気圧の変化でうつ気分が強まることがありますか。

 【樋口】 天気、気圧ではきちんとした調査がありませんが、冬になるとうつになるタイプがあります。成因も分かってきて、日照時間との関係でうつが起こるという一群があります。

 【前野】 主治医に正確に自分の体調を伝えることの難しさを感じています。医師の立場から患者の状態を理解しやすい言葉、症状に関する表現方法はどういったものが望まれますか。

 【樋口】 ご自分の症状や状態を言葉で表現することが苦手な方もいます。そういう場合、メモ書きする方法があります。言葉ではなかなか表現できないが、文章にすると中身を伝えられます。精神科の場合、家族からの情報とご自身からの情報を両方抱き合わせでいただくことが診断等には役立ちます。

 
松本 昌泰さん

 【松本】  医療はお互いのコミュニケーションです。相手を非難し続ける方は必ず自分も良くない面があります。ドクターに行く場合は、タクシーに乗った時を思ってください。運転手を信頼しなければ、目的地には行けません。危ないと思ったら早く降りることです。あまり相手を害すると事故に遭うでしょう。

 【前野】 最後の質問です。脳によいという触れ込みのサプリメント(栄養補助食品)が各種ありますが、効果はあるのでしょうか。

 【松本】 効果があるかどうかは気分的なものもあります。あまり高価なものは効果がないと思っていただきつつ、データが十分に出ていないのが実情ですから、だまされないようにしてください。広告費を相当使っているものは怪しいと考えたほうがよろしい。

 【前野】 どうも有り難うございました。

第5回医療機器市民フォーラムは5回に分けて掲載しています
(1)第1部:講演「脳卒中」について(2010年3月29日)
(2)第1部:講演「アルツハイマー病」について(2010年3月30日)
(3)第1部:講演「うつ病」について(2010年3月31日)
(4)第2部:パネルディスカッション(上)(2010年4月1日)
(5)第2部:パネルディスカッション(下)(2010年4月2日)
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