心に残る医療 体験記コンクール入賞作品
イベント・フォーラム
小学生の部 最優秀賞「おばあちゃんのこと」
松田 永遠(まつだ とわ)さん
神戸市 10歳・小学4年
おばあちゃんのたいいんが決まりました。
おばあちゃんが元気になって帰って来るわけではありません。おばあちゃんの部屋は病室みたいで、きかいで部屋はうもれていました。
電動ベッド、さんそのきかい、きゅう入のきかいなど、ガーゼやほうたい、薬もありました。流どう食のセットです。色々な味の流どう食です。その味は、レモン、コーヒー、メロン、いちごの味があります。
どうにょうセットというものも、あります。おかあさんとおねえちゃん(おかあさんのいもうと)は、色々なきかいが使えるようになりました。そして、
おばあちゃんが帰ってきました。
おばあちゃんは動けません。
おばあちゃんは、話すことができません。
おばあちゃんは、口から食べることができません。
でも家に帰ったら、おばあちゃんが笑っていました。病院より家がいい!という気持ちが伝わって、とてもうれしかったです。
そして、おかあさんたちは、かんごしさんみたいになって、おばあちゃんのお世話をがんばっていました。
いつもおばあちゃんちに、かんごしさんやヘルパーさんや、お医者さんまで!来てくれています。かんごしさんは、毎日来てくれました。それ以外にもお医者さんやかんごしさんは、何かあったらすぐに来てくれました。
でもわたしも手伝いました。流どう食のスピードをおとしたり早くしたりしました。
ほかにも、さんそマスクがずれたら、はずしたりしました。
手ぶくろをはめて、はいせつや、はいべんのお手伝いをしました。ちっともきたないとは思いませんでした。わたしは、少しでもきれいにしたいなと思いました。だって、きもちわるくても、おばあちゃんは何も言えないからです。
でも、一つだけ、お手伝いができなかったことがあります。お医者さんも、かんごしさんも、
「向こうのお部屋に行っててね」
と言われます。
「おわったよ」
と言われ、もどってみると、おばあちゃんの足に、きれいなほうたいがまかれていました。でもその中身は知りません。あとでおかあさんにききました。
おばあちゃんのひざからしたは、くさってしまっていたそうです。
お医者さんが、くさったところから、体にきんが回らないように、少しずつ、切りとって、かんごしさんが毎日あらって、消毒して、きれいなほうたいで足をまいてくれていたそうです。あまりにもかわいそうなすがたを、大人たちは、子どものわたしに見せたくなかったようです。
たくさんの人が、おばあちゃんを助けようとしてくれました。一番しんどかったのは、おばあちゃんのはずなのに、一生けんめい、生きようとしてくれました。
どんなすがたでも、わたしは、おばあちゃんが大すきでした。でも、おばあちゃんは、神様のところへ行ってしまいました。
神様のところでは、いっぱいおいしいごはんを食べて、いっぱいおしゃべりをして、大すきなうたをうたって、自分の足で歩いて、
自分でトイレへ行けてるかな。
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