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坪田一男さんと坂上みきさんが語る

イベント・フォーラム

(3)ストレスは元気の源

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ランするアンチエイジング

坪田一男(つぼた かずお)さん
1955年生まれ。慶応義塾大学医学部眼科学教室教授。専門の眼科に加え、アンチエイジング医療にも取り組んでいる。ヨミドクターではブログ「視的!健康論 ~眼科医坪田一男のアンチエイジング生活~」を連載中。
坂上(さかじょう)みきさん
1959年生まれ。パーソナリティー。ラジオ日本「坂上みきのエンタメgogo!!」、日本テレビ「おもいッきりDON!」にレギュラー出演中。テレビ番組やCMなどのナレーションも多数。趣味はランニング。
 

 坂上:坪田先生はフルマラソンを走るそうです。ずいぶん前から走っていたのですか。

 坪田:13年くらい前からチャリティーマラソンで皇居1周5キロを走っていたんですよ。その時は年に1度しか走らないからヘロヘロになった。

 坂上:その時には5キロでヘロヘロだったのにフルマラソンに出るようになった。走ろうとスイッチが入ったのはどうしてですか。

 坪田:さっきの酸化ストレス仮説からすると、運動は酸素をいっぱい取り入れて燃やすから、活性酸素がたくさんできるので体に良くないという理論が以前はあって、だから僕も、運動をやりすぎるのは良くないと思っていました。ところが最近、ホルミシス仮説というのが出てきた。知ってる? ホルミシス仮説。

 坂上:すみません、知らないことだらけで…。

 坪田:覚えるの難しいです。ホルミシスです。ちょっとしたストレス、自分が許容できるストレスを耐えると、それに対抗するような遺伝子群が発現したり、酵素が発現したりして、実は自分が元気になっちゃうという仮説なんです。

 坂上:元気になっちゃう?

 坪田:例えば30分運動すると活性酸素がいっぱいできます。すると、それを除去するための遺伝子の働きが活発化して、酵素が発現されて、その活性酸素に負けない体になっていく。

 坂上:それは、例えば、やりすぎるとやっぱりダメっていうことですか?

 坪田:思いっきりやったらダメですよ。24時間走るとか、そこまではやらない。マラソンもやりすぎかなと思っていたけど、徐々に自分を慣らしてきたから、今の自分の考えでは、ちょうどいいホルミシスの刺激だなって思っています。

 坂上:先生はわかるだろうけど、一般の私たちはどこが加減かわからないです。

 坪田:普通にやっていれば大丈夫ですよ。坂上さんぐらい走っている人は大丈夫。なんにもやっていない人が突然走ったら、それは良くない。少しずつ慣れたら少し増やして。

 坂上:慣らしていけば自分の能力も、ちゃんと上がっていくということですか。

 坪田:運動することで、それに対抗するものが出てくる。運動だけでなく適度なストレスを自分の体に加え続けることが若さの秘訣ともいえます。これがいまアンチエイジングの大きな流れです。

 坂上:今まで本当に活性酸素はだめなんだという感じがずっとありましたけど、そうではないんですね。

 坪田:特に最近わかってきたのは、体の中にはミトコンドリアっていうエンジンがあるんですが、そのエンジンが年を取るとどんどんダメになっていく。小さくなるし、活性酸素をどんどん出してくるようなエンジンになっちゃうんです。でも運動すると、それがまた大きくなって、効率がよくなります。

 坂上:そうなんですか。

 坪田:言ってみれば、年を取ると360ccの軽自動車のようなエンジンになっちゃうのが、運動することによって、ベンツとかベントレーのようなエンジンになっていく。素晴らしいと思う。坂上さんもベンツになっています。

 坂上:いまベンツですか?

 坪田:ベンツに見えます。ホルミシス仮説を覚えておくとすごくいいです。いやなことがあっても、おっ、ホルミシスだと思えば乗り切れる。雨降って地固まる。奥さんとけんかしても、あっ、これでまた新しいステージに行けるんだ、だから、けんかも良くとらえることができる。ストレスも、ホルミシスだ、自分はこれで強くなるんだ、という考え方。

 坂上:ホルミシス、ホルミシスと思ってね。

坪田さん・坂上さんのトークショーは4回に分けて掲載しています
(1)せんべいが先か、ピーナツか(2010年2月12日)
(2)腹八分で寿命延長?(2010年2月15日)
(3)ストレスは元気の源(2010年2月16日)
(4)片足立ちで鍛えよう(2010年2月17日)
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