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医療部発

医療・健康・介護のコラム

人工関節でもスポーツできる?

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 こんにちは。1月28日~2月3日の医療ルネサンス「人工関節と付き合う」を担当した高橋です。おかげさまで反響のお便りもいただきました。本日は記事に書ききれなかったことを多少補足出来ればと思っています。

 さて、連載1回目で脱臼を取り上げたところ、変形性股関節症と診断されたという近畿地方の50歳代女性から「将来人工関節になったら、やっぱりスポーツはできないのでしょうか」とのお便りが寄せられました。ボウリングとゴルフが生きがいだが、人工関節になって行動が制限されたという知人を見て心配になった、とのことでした。

 これについて、東邦大医療センター大森病院教授の勝呂徹さんにお尋ねすると、「スポーツが可能かどうかは、手術前の関節の柔軟性などが大きく影響しますが、筋肉や骨の状態が安定している人は、むしろ適度に運動した方がよいでしょう」とのお答えでした。

 人工関節になっても、ゴルフや水泳、サイクリングなどは基本的に問題ないそうです。ダンスやスキーをする人も結構いるとか。

 人工股関節の場合、ボウリングは、投球動作(フォロースルーも含む)で、股関節を曲げすぎたり、のばしきってひねったりする動作を避ければ、十分可能との見解でした。

 股関節が、どういう角度になったときに脱臼しやすいかは、手術時の人工関節の設置角度や元々の立ち姿勢などによって微妙に個人差があるといいます。自分がやりたいスポーツの動作や姿勢に、脱臼などの危険があるかどうか、あらかじめ主治医にも相談しておいた方がよいかもしれません。

 なお、関節に衝撃が加わるスポーツは、人工関節の劣化を早める可能性があります。

 「1時間以上ウオーキングできる方の場合、趣味レベルなら多くのスポーツはできると思いますが、転ぶと人工関節周辺を骨折しやすいということも考えると、走る運動は避けた方が無難とはいえます」(勝呂さん)とのこと。特に、他人と接触プレーのある競技は自分で体勢をコントロールできなくなることがあるだけに、危険はあるでしょう。

 とはいえ、現実には、人工股関節になった後、フルマラソンを完走した人もいるそうです。人工ひざ関節でゴルフのシングルプレーヤーもいるとか。「可能な運動は、ご本人の元々の身体能力にもよるので、人工関節だからといって一律に制限するのではなく、出来ることは少しずつ試してもよいと思います」とも、勝呂さんは言います。

 冒頭のお便りの女性は、股関節周りの筋肉を鍛えるため、水中ウオーキング、家ではエアロバイクをしているそうです。こうした運動は、関節にかかる負担を減らし、変形の進行を防ぐ効果も期待できると思います。

 人工関節になっても、ならなくても、なるべく適度に体を動かし、活動的な生活を維持したいものですね。

 
 

 

高橋圭史 2005年から医療情報部。がん放射線治療、腰痛・ひざ痛、こころの病気などを担当。主な取得資格は、プロボクサーライセンス(過去)、剣道二段。

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医療部発12最終300-300

読売新聞東京本社編集局 医療部

1997年に、医療分野を専門に取材する部署としてスタート。2013年4月に部の名称が「医療情報部」から「医療部」に変りました。長期連載「医療ルネサンス」の反響などについて、医療部の記者が交替で執筆します。

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1件 のコメント

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知らなかったです。

いちご

わたしは今まで人工関節とか知らなかったのですが、昨年の四月に能力開発校に入校し、クラスの人がその人工関節だったので、いろいろ検索して調べています...

わたしは今まで人工関節とか知らなかったのですが、昨年の四月に能力開発校に入校し、クラスの人がその人工関節だったので、いろいろ検索して調べています。


その人はスポーツが学生時代大好きだったので。

また見させていただきたいと思います。

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