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漫画家 西原理恵子(さいばらりえこ)さん 45

一病息災

[漫画家 西原理恵子さん]夫のアルコール依存症(4)楽しい記憶を上書き

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 別れた夫の鴨志田穣(かもしだゆたか)さんが断酒し、回復し始めた時、再発がわかった副腎のがんは、既に肺一面に散らばっていた。「持って年内」と宣告され、夫が望んだのは、家族のいる家に帰ることだった。

 「治ったら戻っていいよ」と励ましていたから受け入れたが、帰宅直後は「また飲んだらどうしよう」と怖かった。でも、今回は違った。

 「朗らかで働き者で、子どもの大好きな彼に戻って……。6年間のつらいことを全部忘れることができましたね」

 家族で囲む食卓、一緒に出かけた東南アジアへの最後の旅行――。楽しい思い出をたくさん作り、どこでも「手をつないで」と触れたがった。

 飲みたくなると、おまじないのようにこう唱えていた。「おれはもう一生分飲んだ。子どもがかわいい。おかあちゃんが好きだ」

 2007年3月、「幸せな人生だった。ありがとう」と旅立った。「子どもを傷付けずに済んだ。人として死ねてうれしい」とも言っていた。

 そして今、西原さんは各地で自身の体験を講演する。適切な医療さえ受ければ患者も家族も救われる病気だと、苦しむ人たちに伝えたいからだ。

 「記憶は上書きできるんです。憎しみを乗り越えて、家族で再生してほしい」(文・岩永直子、写真・本間光太郎)

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