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(5)初体験前にワクチン接種を

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読売新聞創刊135周年スペシャルフォーラム

女優:仁科亜季子さん
1972年デビュー。NHKの大河ドラマなどで清純派女優として活躍。79年から芸能活動を一時休止し、99年に復帰。女優業のほか、がんに関する講演や啓発運動なども行う。
群馬大産婦人科教授:峯岸敬(たかし)さん
1977年群馬大医学部卒。海外留学などを経て、92年に日本内分泌学会の研究奨励賞を受賞し、2000年から現職。
聞き手:読売新聞編集委員 南砂(まさご)さん
1979年、日本医大卒。ベルギー国立ゲント大学留学。85年、読売新聞入社

 :さっきの先生の話だと、今の目標としては「20歳になったら婦人科の検診を」ということですよね。でも、アメリカなんかはもっと早い段階で婦人科の主治医がいたり、ホームドクターがいたりします。思春期に相談できる医師がいるのが望ましいんですかね。

 

 仁科:欧米は、ウイルスの予防ワクチンの接種は、セクシャルデビュー(初めての性交渉)の前がいいということで、12歳ぐらいが一番いいとうかがいましたけど。

 峯岸:そうですね。国によってその年齢は少しずつ違います。たとえば、ある世代でセックスをする人口が5%いれば、ワクチンを使った方がいいとされているので、日本では12歳よりは上の年齢になるかもしれません。

有効かつ安全なワクチン

 :つまり、女の子が性体験をする前にこのワクチンをやることが有効であるということですね。日本の高校生の実態を見ますと、20歳ではとてもとても遅いですね。
先生、このワクチンの現状はどうなっているのかご説明いただけますか。

 峯岸:サッカーボールにDNAが入っているようなのがヒトパピローマウイルスなんですが、ワクチンはそのDNAを抜いた外側の殻だけを注射して、殻に対する抗体を作って、上皮に入ってきたウイルスをやっつけるので、何の副作用もない。ワクチンによってウイルスに感染してしまうということは決してないので、非常に安全なワクチンです。

 ワクチンは 、最もがんになる頻度が高い16型と18型に対するものなんですけども、それ以外に形が似ているものに対しても予防効果があるかもしれないと言われています。もし15歳~45歳まででワクチンを打っていない人であっても、その後の感染を防ぐという意味では、やっぱり打っておいた方が安全性が高まると言われています。

 初回から1か月後、6か月後というふうに計3回打ちます。開発されてからまだ10年たっていませんので、10年たったら、抗体価が下がってきてしまうんではないかとも言われていますが、6~7年間はずっと高い抗体価が維持されるということがあるので、3回打てば一定の長い期間、抗体が維持できて予防できるだろうとされます。

 ただ、ワクチンを打ったからといって、その後100%大丈夫なのかというとそうではなくて、それ以外のウイルスが感染した場合はすべて抑えきれるわけではないので、ワクチンを打ったとしてもやはり検診を受けてください。検診とワクチンの両方で予防していきましょうということです。

値段が高いのが欠点

 :今の課題はなんですか。

 仁科:ワクチンの値段が高いんですよね。今は3回打って4~6万円くらいかかるんです。かかるかどうか分からないという状態で、お母さまが女の子にそれだけのお金をかけてくださるというのが……。「1万や1万5千円くらいならね」っておっしゃるんですよ。でも、5万や6万は2人いるから無理よねって。

 峯岸:学会は、国に公費でやってくれということをお願いしています。公費になれば、高額という問題はクリアできる。啓蒙(けいもう)活動としては、やはりご両親に理解していただいて、価格の問題と両方で解決しなければならないと思っています。

 :諸外国でちゃんとワクチン接種が進んでいるってことは、国が義務的にやってるとかそういうことなんでしょうか。

 仁科:アメリカなんかでは結構国が主導して費用も補填(ほてん)してくださっているようですね。

 :予防の手を打ったから病気にならなかったのか、もともとならない人がならなかったのか、分かりません。そこが、予防医療の非常に見えづらいところですよね。そういうものに何万円もの自己負担は、なかなかしづらい。だからこそ、国なり自治体が政策的に予防医療を進める――。反対はそんなにないんじゃないかという気もするんですけど。

 仁科新型インフルエンザの流行で、日本人もやっと、ワクチンの重要性を認識するようになりましたけど、それでもワクチンに対して敬遠する傾向があるらしいんですね。要するに、後遺症が出たり、副作用が出たりするんじゃないかということです。

 峯岸:ワクチンは、感染力のあるDNAが完全に除去されているので、基本的に副作用はないと思います。ただ、筋肉注射なので、痛みとか赤くなるとかは、一般的なワクチンより多いみたいです。ですから、そういうことは最初に理解していただいて使ってください。

仁科さんの講演は6回に分けて掲載しています
(1)偶然がんが見つかって(2010年1月14日)
(2)がん告知に夫が倒れた…(2010年1月15日)
(3)「これ、あっこちゃんの敵だよ」(2010年1月18日)
(4)男の子が「女性って偉大ですね!」(2010年1月19日)
(5)初体験前にワクチン接種を (2010年1月20日)
(6)ストレス、あってもなくても…(2010年1月21日)
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