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(2)がん告知に夫が倒れた…

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読売新聞創刊135周年スペシャルフォーラム

女優:仁科亜季子さん
1972年デビュー。NHKの大河ドラマなどで清純派女優として活躍。79年から芸能活動を一時休止し、99年に復帰。女優業のほか、がんに関する講演や啓発運動なども行う。
群馬大産婦人科教授:峯岸敬(たかし)さん
1977年群馬大医学部卒。海外留学などを経て、92年に日本内分泌学会の研究奨励賞を受賞し、2000年から現職。
聞き手:読売新聞編集委員 南砂(まさご)さん
1979年、日本医大卒。ベルギー国立ゲント大学留学。85年、読売新聞入社
 

 :今でしたら、本人への告知が当たり前のようになっていますけど、当時、告知はどういったものだったんですか?

 仁科:当時は主人がいて、海外に長期ロケに行っていて、私1人で先生のところへうかがいました。そこは娘を産んだ病院で、親しくさせていただいていた先生が、汗をかきながら、「ご家族は?」「ご主人は?」と言うんですね。「大丈夫だから先生おっしゃってください」と言ったら「これはごくまれなんですけど、本人に直接……」とかいろいろなことをおっしゃっていて、あ、これはまずいシチュエーションかな、と思いました。
でも、根が元気なので、告知は受け止められました。ドンと構えて。

涙がひたすら流れて

 :先生、今は、やはりご本人に伝えるんですか。

 峯岸:基本的にご本人にお話しします。女性は、か弱く見えますが、実は女性の方が告知に際し強いのではないか、という気がしています。だから、だんなさんが倒れることがあっても、告知をされてすぐには落ち込んでも、精神的に回復されない女性はあまり見たことがないですし。

 仁科:夫は倒れたみたいですよ。電話で夫に伝えたんですよ。そしたら、いきなり無言になっちゃって。「どうしたの?」って聞いたら、マネジャーが電話口に出てきて「ここで倒れてます」って。

 :仁科さんのご著書に、告知後、駐車場に行って車に乗って、しばらく1人で涙を流され、決意をされて、家に帰られる、というシーンがありました。

 仁科:何が悲しかったんだか、よく分からないですけども、ただひたすら涙が出てきたのを覚えています。子どもたちがまだ小さいので、どう説明しようかな、というのはありましたね。

 子どもは6歳と8歳でしたから、がんという病気が理解できないんじゃないかと思って。私は一日も子どもを手放したことがなかったので、母親がいなくなるということをどう説明しようかなと思いまして、その当時、子どもがテレビの「戦隊もの」とかをよく見ていましたので、「怪獣さんがおなかの中に入っちゃったからそれを退治してくるからね」と言って入院しました。

 最初、先生に入院は6か月と言われたんですが、優秀な入院患者だったので4か月で退院しました。それでも4か月というのは長い入院生活でした。治療方法も、抗がん剤、手術、放射線、その後の免疫療法と、フルコースとその後のデザートまで全部やりました。

 主治医の先生からうかがったことがあるんですが、がんも人間と同じで顔も違えば性格のいいのと悪いのがあって、私は非常に悪かったらしいんですね。持ち主に似て。

 ですけど、たまたま抗がん剤がよく効いて。でも1回目は効かなかったんです。髪の毛も抜けませんでしたし。2回目はつるつるになってしまいましたが。だからそういう意味ではケース・バイ・ケースで、人によってそれぞれ違う方法だと思うんですけどね。

がんの顔つきもいろいろ

 :先生、今では細胞の種類とかを検査で見ただけで、「これはもうかなり悪いから急がないと」というのは分かるものなんですか?

 峯岸:子宮頸がんと一口に言っても、「扁平上皮(へんぺいじょうひ)がん」と「腺がん」と、組織型が異なり、取った少量の組織で判断できます。がんの広がりに関しては、普通は内診で見るんですが、内診の精度というのは低いので、MRI(磁気共鳴画像)やCT(コンピューター断層撮影法)で撮影して、第三者が見られるような画像で診断して、治療法を決めます。

 :何の症状もない時に見つかった仁科さんでも、それだけの大変な治療になるわけですから、まずは発見することの大事さですね。仁科さんの場合はその4か月間は家には帰らず、病院にいたのですか?

 仁科:はい。放射線は週5日間で、少し慣れてきたら、週末に外泊で帰していただきましたけれども。

 :今は随分、吐き気を抑えるような方法もあると聞きますが、大変だったのでは?

 仁科:かなりつらいです。肉体的にもつらく、時間も長期にわたり、後遺症、そしてお金ということがあります。私がこういうところで話すのも、多くの女性に、一日でも早く検診を受けてもらって、一日でも無駄やリスクを減らしてほしいなと思うからです。

仁科さんの講演は6回に分けて掲載しています
(1)偶然がんが見つかって(2010年1月14日)
(2)がん告知に夫が倒れた…(2010年1月15日)
(3)「これ、あっこちゃんの敵だよ」(2010年1月18日)
(4)男の子が「女性って偉大ですね!」(2010年1月19日)
(5)初体験前にワクチン接種を (2010年1月20日)
(6)ストレス、あってもなくても…(2010年1月21日)
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