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鎌田實さんと秋吉久美子さんが語る

イベント・フォーラム

(6)1%はだれかのために生きたい

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読売新聞創刊135周年スペシャルフォーラム

長野県諏訪中央病院名誉院長:鎌田實さん
東京医科歯科大学卒業。35年間、長野県の諏訪中央病院で地域医療に携わる。日本チェルノブイリ連帯基金を設立、放射能汚染地帯の病院へ医師団を派遣し、約14億円の医薬品を支援してきた。2004年には、イラクへの医療支援を開始した。2000年には、著書の『がんばらない』が大ベストセラーとなった。
女優:秋吉久美子さん
静岡県生まれ。1974年に、映画「赤ちょうちん」「妹」「バージンブルース」に出演し、一躍、時代を担う女優として注目された。「異人たちとの夏」「深い河」など数多くの映画に出演し、日本アカデミー賞優秀主演女優賞など数々の賞を受賞。映画のほか、テレビドラマや舞台でも活躍している。今年9月、早稲田大学大学院公共経営研究科を修了した。

65歳までイラクやチェルノブイリの子どもを助けたい

 

 鎌田 自分は、55歳で諏訪中央病院を辞めました。10年早く定年退職をしたんです。それで、パート医になって、往診や、ホスピスの回診や、外来を週2回とか、自分の好きなことをさせていただきながら、自分が医師として、何か患者さんに生きる力を与えられるんじゃないかと、今も自分なりの自負心がある。それはちゃんとやりながら、チェルノブイリやイラクの子供を救援することを、できたら65歳まではやりたい。65歳から10年間はまた何がやれるのかと思いながら、結局、よろよろ、よろよろしているんです。

 ぴしっと生きてきているわけではないんだけれども、それでも自分にいつも言い聞かせているのは、結局、岩次郎さんという人に出会って生きられたので、人によって生かされたのだから、だれかの役にも立ちたいと思っている。けれども、それは1%です。99%は、基本的に自分のために生きているし、家族のために生きているんだけれども、1%はいつもだれかのために生きたいなと。それが、これからも変わらない生き方かなと思っています。あとは、ジッパーのようにジグザグです。(笑)

 秋吉 結局、自分らしい強さはジグザグということですか。

 鎌田 よろよろって、僕は自分の本の中ではよく「揺れながら」と書いているんだけれども、「ジッパー」という表現をされたのは初めてですね。とても気に入りました。(笑)

 秋吉 結局、ジッパーで上まで上がるわけですよね。ジグザグしていても。

 鎌田 自分は、下がっていいんじゃないかと思っているんです。ズボンのチャックは、下がるものは上がりますよね。

 秋吉 でも、リュックサックだったら、ぐるりと上がって下がりますから。

人生は下がっている時が面白いのかも

 鎌田 僕は、人生は上がるだけじゃなくて、下がることも結構大事だと思っているんですよね。下がるときにおもしろいんじゃないかな。だから、年をとって、ピークを終えて下がっているときが、もしかしたらいろいろなしがらみから離れられて、自分らしさがちゃんと出せるのかなと。それまでは、僕だったら病院人間で、いい病院をつくりたいと思って、そのために地域の人や議員さんたちとつながったり、職員とまとまったりしながらやったけれども、これから下がっていくときには、いろいろなしがらみじゃなくて、何となく自分のいいかげんさも含めて、素直にスッと出していけたらいいかなと思っているんです。

 秋吉 やけにすてきそうですね。ただ楽になりたいと言っているような感じもしますが。(笑)

 鎌田 秋吉さんは、これから大作の映画の予定とかあるんですか。

 秋吉 むずかしいけど。実現したらすてきですね。ただ、ほんとうに人間としては成長したいと思います。今、先生から慰めていただいたような気もしますが、もうちょっと成長したい、その時間を与えていただきたいと思います。

 鎌田 いつか『がんばらない』を映画にして、秋吉さんが主役で。

 秋吉 ヨシばあさんの役で。

 鎌田 ヨシおばあさん、おチンチンをさわるおばあさん。(笑)

 秋吉 新境地みたいな。セクシー系として、若い理想に燃えている、諏訪にやってきたお医者さんを誘惑する役で、78歳ぐらいで挑戦したいですね。

 鎌田 それはおもしろい。

 秋吉 はい。ヨシばあさんの役で挑戦して、新境地と読売新聞に書いてほしいです。(拍手) 

 秋吉久美子さんの看取りについての連載記事が「一病息災」(2007年5月6日~6月24日)にありますので、そちらもご覧ください。

鎌田さんと秋吉さんの講演は6回に分けて掲載しています
(1)僕を拾ってくれた父親の教え(2009年12月21日)
(2)社会福祉って、手を握られること?(2009年12月22日)
(3)当て逃げのようながん告知 (2009年12月24日)
(4)告知せずに母を看取った、人間として正しいことだったのか?(2009年12月25日)
(5)だれだって頑張れない時がある(2009年12月28日)
(6)1%はだれかのために生きたい(2009年12月30日)
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