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高齢者の性・ブログ

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プレゼントは喜びの交換

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 今日はクリスマスイブです。プレゼントにまつわる個人的な思い出を一つ。

 私の母(62)は、花や緑を育てるのが大好きです。実家のマンションの狭いベランダには所狭しと植木鉢やプランターが並び、いつ訪ねても、色とりどりの季節の花が咲いています。

 私の両親は、子どもから見てもとても仲のいい夫婦で、夜寝る前は必ず手をつないで会話をしていましたし、しょっちゅう子どもの前でもべたべたしていました。ですが、父は、私たちが幼いころ、母の誕生日に花をプレゼントするということがありませんでした。九州の田舎育ちの父の家では、そんな習慣がなかったのでしょう。

 私と姉は、小学校高学年になったころ、父に「お母さんにお花を贈ってあげたら喜ぶよ」とけしかけました。すると、その年の母の誕生日、父は一抱えもある真っ赤なバラの花束を抱えて帰ってきました。母は大喜びして大泣きです。父も母のそんな姿を見て、とてもうれしそうでした。私たち姉妹もとても幸せでした。

 それ以来、父は、毎年8月の誕生日とクリスマスに、花束や鉢植えの花を母に贈るようになりました。母はいつも初めてもらった時のように大喜びで受け取っていました。

 2004年夏、父は再発したがんが脳に転移し、物忘れが多くなったり、体のバランスが取れずにふらついたりするようになりました。誕生日の朝、「今日はなんの日かわかる?」と聞いた母に、何も答えず、母は寂しい気持ちになって仕事に出かけたそうです。

 ところが夕方、家に帰ると、風呂場の水を張ったバケツに、花束が置かれていました。驚いた母は、「覚えていたの?」と駆け寄ると、父はうれしそうに「母さんの誕生日を忘れるはずないじゃないか」と言ったそうです。

 よく見ると、父の腕やひざには血がついていました。ふらつく体で転びながら、近所の花屋に花束を買いに行ったのです。母の喜ぶ顔を思い浮かべながら。

 父はその年の11月、自宅で家族に見守られながら亡くなりました。母は今も、最後の花束をドライフラワーにして飾っています。「父さんがいなくなったのは寂しいけれど、こんな思い出があるから生きていける」と言っています。

 皆さんは、大事な人に何を贈りますか?妻や夫にプレゼントなどあげたことがないという方、仲直りのきっかけがつかめない方、クリスマスはいいチャンスです。花一本だけでもいい。受け取った方も、相手に素直に感謝を伝えてほしいです。

 プレゼントは、喜びの交換ですから。

 
 

 

 岩永直子 社会部で警視庁、厚生労働省担当を経て、2009年6月から医療情報部。1面の年間企画「長寿革命」も担当している。趣味は居酒屋巡りとダイエット。

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岩永直子

読売新聞 医療部記者

39歳、夫と二人暮らし

趣味は居酒屋巡りとダイエット

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13件 のコメント

誕生プレゼントブローチ付けて

めざめたじいさん

79歳の誕生日プレゼントは、家内にはサプライズだったようです。デパートの装身具売り場の店員さんにも手伝ってもらいブローチを求めました。誕生祝いの...

79歳の誕生日プレゼントは、家内にはサプライズだったようです。
デパートの装身具売り場の店員さんにも手伝ってもらいブローチを求めました。
誕生祝いの宴で手渡すと、目を丸くして抱き付かんばかりに喜んでくれました。

次の朝、起き上がろうとした家内目まいで倒れたのです。それでもトイレに行こうとするので、タオルを数枚当ててそこにしなさいと言いました。しかし、出来ないと言い、抱きかかえてトイレに。吐く方が先でした。あまりにも酷い目まいで括約筋が締まったまま。

救急車で運ばれた病院でも目まいは止まらず、胃液を吐く始末。耳鼻科の医師により点滴を受け、その効果が出て来たのは8時間を越えていました。
その間異常に膨れた下腹に驚いた医師がCTを撮ることになり、異常がないと言うことで導尿によって苦しさから解放されたようです。

9時間後に、医師から入院するかどうか聞かれました。病院では寝たきりにされ足も萎え、意欲も減退すると考えました。

「あのブローチ付けて、手を繫いで歩こうよ」と言うと、家に帰りたいと言いました。家に帰ると主婦の仕事が待っており意欲的になった様子。じいも手伝い、夕食はその日はしめての食事になりました。

プレゼントが目まいを追い払ったと言えば過言ですが、医師も驚くほどの回復ぶりです。

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プレゼントに慣れている男性少ないですよね

岩永直子(記者)

gakuto2様  投稿ありがとうございます。考えてみれば、女性は友達同士でも、親子でもちょこちょこプレゼントをしますし、選ぶのもまた楽しみなん...

gakuto2様


 投稿ありがとうございます。考えてみれば、女性は友達同士でも、親子でもちょこちょこプレゼントをしますし、選ぶのもまた楽しみなんですけれど、男性はそういう方限られていますよね。慣れていないのでしょうか。


 我が夫も、ハリセンボンの置物から、2メートル以上ある扇など、若いころは色々笑えるプレゼントをしてくれたものです・・・。それもまた楽しい思い出ですが。


 「猛烈アピール」、いいじゃないですか。大喜びしてプレゼントを受け取りましょうよ。「そんなに喜ぶなら」と、いつかサプライズプレゼントがやってくるかもしれませんよね。

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すてきな思い出ですね

gakuto2

 とても感動しました。相手の喜ぶ顔を想像しながらえらぶプレゼントは、私も大好きです。  残念ながら我が家では、私の猛烈アピールにより、夫がプレゼ...

 とても感動しました。相手の喜ぶ顔を想像しながらえらぶプレゼントは、私も大好きです。


 残念ながら我が家では、私の猛烈アピールにより、夫がプレゼントを準備します。それだけでも十分嬉しいのですが、私も夫が自主的にプレゼントを用意したくなるような素敵な女性になりたいです。

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