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(1)僕を拾ってくれた父親の教え

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読売新聞創刊135周年スペシャルフォーラム

 「創刊135周年スペシャルフォーラム」は、「自分らしさ」「がんに打ち勝つ」「艶のある人生」の3つをテーマに9月から11月まで、全国10か所で開催してきました。その中で、10月23日に東京・一橋会場で行われた医師の鎌田實さんと、女優の秋吉久美子さんの講演「強い心で、自分らしい生き方を」の内容をご紹介いたします。

長野県諏訪中央病院名誉院長:鎌田實さん
東京医科歯科大学卒業。35年間、長野県の諏訪中央病院で地域医療に携わる。日本チェルノブイリ連帯基金を設立、放射能汚染地帯の病院へ医師団を派遣し、約14億円の医薬品を支援してきた。2004年には、イラクへの医療支援を開始した。2000年には、著書の『がんばらない』が大ベストセラーとなった。
女優:秋吉久美子さん
静岡県生まれ。1974年に、映画「赤ちょうちん」「妹」「バージンブルース」に出演し、一躍、時代を担う女優として注目された。「異人たちとの夏」「深い河」など数多くの映画に出演し、日本アカデミー賞優秀主演女優賞など数々の賞を受賞。映画のほか、テレビドラマや舞台でも活躍している。今年9月、早稲田大学大学院公共経営研究科を修了した。
 

困っている人がいれば助ける、当たり前の心

 ――秋吉さんは、鎌田先生のご著書の『がんばらない』をお読みになったということですよね。

 秋吉 とても感銘を受けました。お父様、岩次郎さんのおっしゃった、困っている人、弱っている人のために役に立つお医者さんになってほしいという、真摯(しんし)な、素朴な一つの願いを全うするために今までやってこられた。医療に置いても不安がいっぱいの世の中で、光を与えてくれる存在のように感じます。先生は、「ジグザグの人生」とおっしゃっていますけれども、ジグザグでありながら、ジッパーのように、ひとつの筋を通して生きてこられています。

 鎌田 穴があったら入りたいような感じですけれども、そうやって読んでいただいているとすれば、とてもうれしいと思います。

 今、岩次郎さんという名前が出ました、1歳のときに僕を拾ってくれた父親で、岩次郎さんという人に出会ったことが僕にとってはとても大きなことです。でも、岩次郎さんが特別な人間というのではなくて、日本人の多くがかつて持っていた心のある人だと思います。自分の貧乏を横に置いてでも困っている子供を助ける。岩次郎さんのような人が結構いっぱいいて、別に偉そうにではなく、最後まで何も言わずに、当たり前のことをしたように死んでいったわけです。

 その岩次郎さんから、「うちみたいに貧乏な人間が、どんな思いで医者にかかっているか忘れるなよ」と言われて、自分が人生の岐路で迷ったとき、こっちのほうがいいぞと岩次郎さんが方向を示して後押ししてくれていた。あまり大きなジグザグにならないで済んだのは、岩次郎さんの教えにちゃんと従っていこうと思っているからかもしれないですね。

ジグザグの人生 

 鎌田 秋吉さんは、ジグザグが大きかった?

 秋吉 先生の言葉は、とても優しくて、とてもわかりやすいのですけれども、私の方は、今、言葉を重ねていてむなしさを感じているんです。何か青臭いというんでしょうか。実は私、見た目はちょっと若いですけれども、先生とあまり年が。(笑)

 鎌田 僕が、まるで年をとっているみたい。

 秋吉 ほんの数年しか違わないんです。

 鎌田 (会場から)うわーという声が出ましたね。

 秋吉 でも、その数年の違いはすごく大きくて、先生は、学生運動の時代。私は、学生運動の後の世代、シラケ派世代、フーテン世代、ドロップアウトすることが誠実な選択と言われていた世代なんです。何とも言えない空虚な時代の中で、何か自分なりに、好き勝手なことを言いながら、どうやって生きようかと考えていた。 そして、社会に向き合っていた人たちが、その後、どういうふうに意見を変え、どんなふうに生きていくのかを見ていこうと決めました。その中で、社会と直面するというよりも、私としては、ちょっと斜めを向いた形で、芸能界の中で生きることになりました。

 その後、大人になって、ある程度自分がしっかりして、父と母を亡くした後、これからはもう少し社会のことや人生のことを改めて勉強したいと思い、2年前に入ったのが早稲田の大学院だったんです。

 公共経営研究科という研究室で、明治維新の青年のように、国とは、人間とはと議論をする。私が高校生のころニュースで見た、ゲバ棒で、ヘルメットをかぶってマスクをして、煙をもうもうたいて、なぐり合っていた姿ではなくて、意見が異なっても闊達に意見を交換するという環境が大学院にはありました。

 社会貢献とか社会参加、ボランティアについても、これからはもう少し考えて生きていこうと思っています。

 秋吉久美子さんの看取りについての連載記事が「一病息災」(2007年5月6日~6月24日)にありますので、そちらもご覧ください。

鎌田さんと秋吉さんの講演は6回に分けて掲載しています
(1)僕を拾ってくれた父親の教え(2009年12月21日)
(2)社会福祉って、手を握られること?(2009年12月22日)
(3)当て逃げのようながん告知 (2009年12月24日)
(4)告知せずに母を看取った、人間として正しいことだったのか?(2009年12月25日)
(5)だれだって頑張れない時がある(2009年12月28日)
(6)1%はだれかのために生きたい(2009年12月30日)
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