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日野原重明さんが語る

イベント・フォーラム

(5)食事は1日1300キロカロリー

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読売新聞創刊135周年スペシャルフォーラム

語り手:聖路加国際病院理事長 日野原重明さん 98歳
1911年山口県生まれ、1937年京都帝国大学医学部卒業、41年聖路加国際病院の内科医となる。1998年、東京都の名誉都民、99年文化功労者、2005年、文化勲章を受章
聞き手:読売新聞編集委員 南砂(まさご)さん
1979年、日本医大卒。ベルギー国立ゲント大学留学。85年、読売新聞入社

 

 :なるほど。

 先生は朝と昼はほとんど召し上がらないときいたのですが、本当ですか?

 日野原:本当です。今朝は牛乳1カップと、ティースプーン1杯のオリーブオイル。あとコーヒー。あと大豆から作ったレシチンという粉。

 私の手は柔らかくてあつくて、後で握手をされたらわかると思いますけど、血管と皮膚が真っ白なんです。私はメーキャップしていないんですよ。

 オリーブ油はいいですよ。皮膚がツヤツヤになる。

 ご飯の量はちょっと減らしてくださいね。昼は牛乳とクッキー2個。夜だけ、固形物をだいたい800キロカロリー。1日に全部で1300キロカロリーとるんです。私の体でしたら普通は1800キロカロリーはとるんですが私は1300です。そうすると30歳の時の腹囲になりますから。

 運動をしている人はもっととっていいです。

 私はエスカレーターには乗らないし、空港の動くベルトは使わないであそこを使っている人を追い越します。息が苦しいけれど追い越すと「やったなあ」という気分になるんです。

 この達成感が人間を強くさせるんです。

乗っている飛行機がハイジャックされた!

 :人間を強くする、今日のテーマでありますが、先生は「あのときのこれが自分を強くしたなあ」という時ってどういう時でしょうか?

 日野原:1970年に、九州の学会に行くために朝一のJALに乗ったのですが、それがハイジャックされたのです。私はハイジャックをされて、すぐにやったことは自分の脈をみたんです。ちょっと速くなって緊張していると感じました。

 福岡から北朝鮮へ飛ぶという時になって、彼らは読み物があるから貸し出しますと言いました。誰も手をあげませんでしたが、私は手をあげて本を貸してくださいと言いました。

 自分で自分の心を静めるのにはどうしたらいいかということに努力したんです。

 3日目の夜に彼らが「明日、あなたたちを解放しますが、何か質問ありますか」と言いました。すると乗客の1人が「ハイジャックというのはどういうスペルでどういう言葉ですか」と聞いたんです。ハイジャックした人たちもこたえられない。そこで私はマイクをもらい、前に出ていって「ハイジャックする人がハイジャックの意味をこたえられないのはおかしいじゃないか」と言ったんです。

 そうしたらみんながわ~~~っと笑ったんです。

 私は金浦空港の土を踏んだとき、これからの日野原は与えられた命だと、僕の命ではなく、与えられた命だから他人のために命を投げ出そうと決心がついた。

 ああいう悲劇的なことの中に教えがあるんです。

 一緒にそばで耐えてくれる友達の存在も必要です。

 ハイジャンプするときはかがみますね。飛躍する前には身をかがめるんです。これは試練なんだと思いながら、しばらく身をかがめ立ち上がろうとするときにちょっと手を支えてくれる友達がいてくれること。自分が悩まないとそういう友達に出会わないということなんです。嫌なことつらいことでもみなさんを作る大きな力になると私は考えてます。

 

ホスピス、看護師さんにできることは多い

 :そこから、日本にそれまでなかったホスピスの問題など、日本の医療の大きな潮流を変えたという感じもしますね。 

 日野原:ホスピスというのは、がんの末期で、手術もできない、化学療法もだめだということ。それなら苦しまないで亡くなるように医者はしなくちゃならない。上手にモルヒネを使って、痛くならないように手前から少しずつやるというのがホスピスにおける痛みの癒やしなんです。

 ところが死が近づいているから不安があるんです。その不安をとってあげることが癒やしになる。そのために、マッサージをしてあげたり音楽を聴かせたり孫をつれてきて手を握らせてやるということで癒やしになる。だが、薬は効かない。それが末期の癒やしの力、ホスピスといわれるのですが、日本ではがんの患者の10分の1しか入れない。

 あとは一般の病院で、注射や輸液をうたれて苦しんで死んでしまう、そういうことがないように家で静かに死ねるように、アメリカでは看護師が頻繁に訪問して、最期まで看護師さんがそばにいるようになっています。看護師さんのレベルが高いのです。

 日本では麻酔の先生が足りていませんね。産科の先生、小児科の先生が足りない、これはナースを訓練すれば同じことができる。アメリカの外科手術の8割は看護師が麻酔をかけているんですよ。日本は看護師とは医者の下であると考えられていますが、これからの看護師さんはもっともっといろんなことができ、医者もそれを理解しないといけません。

日野原さんの講演は6回に分けて掲載しています
(1)ただ一つのバラとして自分を大切に(2009年11月24日)
(2)「葉っぱのフレディ」で、カーネギーホールの舞台に(2009年11月25日)
(3)10歳の子どもに命の授業 聴診器を使ってみる(2009年11月26日)
(4)運動を止められたら、ピアノを練習(2009年11月27日)
(5)食事は1日1300キロカロリー(2009年11月30日)
(6)生活習慣病は自分で治す(2009年12月1日)
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