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乗馬の動きで姿勢美人

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優雅に見えて…

「乗馬が体にいいことをぜひ知ってほしい」。さっそうと風を切る黒谷友香さん(千葉県長柄町のエバーグリーンホースガーデンで)=飯島啓太撮影

 房総半島の付け根の丘陵地にある乗馬クラブ「エバーグリーンホースガーデン」(千葉県長柄町)。栗色のサラブレッドが、美しい毛並みに太陽の光を反射させながら走っていた。

 手綱を握るのは、女優の黒谷友香さん(33)。馬のひづめが心地よいリズムを刻む度に、真っすぐに伸びた背中でポニーテールの髪が揺れる。

 「乗馬のお陰で体が内側から鍛えられて、姿勢がよくなり、ボディーラインがきれいになりました」。馬から降りた黒谷さんは、そう言って息を弾ませた。

 黒谷さんは1995年、19歳で映画デビュー。以来、抜群の美貌(びぼう)とプロポーションで、数々の映画や舞台、CMで活躍している。

 10年余り前から馬を飼うほどの馬好き。愛馬の世話や乗馬の練習のために、暇を見つけてはこのクラブに通う。

 心を癒やしてくれる馬との触れ合いには、運動効果もある――。そう気づいたのは、乗馬を始めて5年ほどたったころだ。練習をしばらく休み、久しぶりに乗ると、腰やお尻、二の腕などの筋肉がプルプルと緊張した。「乗馬で付いた筋肉がたるんだのだと実感しました。乗馬は優雅に見えて、実はすごく汗をかくんです」と話す。

自然にバランス

 ヨーロッパでは、古くから乗馬がリハビリや老化防止に取り入れられていたという。

 日本リハビリテーション専門学校校長(元日本医大教授)の木村哲彦さんは、72年、ノルウェーのリハビリ施設を視察。腰痛や姿勢の矯正、一部の脳性まひなどに「乗馬療法」が活用されていると知った。

 人は馬に乗ると、落馬しないよう自然にバランスを取る。すると腹筋・背筋をはじめ、あぶみに掛けた足と手綱を持つ手の筋肉のほか、骨盤と背骨の間で姿勢を真っすぐに保つ「脊柱(せきちゅう)起立筋」「腸腰筋」など体の奥の筋肉までもが、いつのまにか鍛えられるという。

 とはいえ、日本では乗馬にはお金がかかる。そこで、木村さんは帰国後、いすと六つのモーターを組み合わせて馬の動きを再現する機械を試作した。その後、大手家電メーカーが健康器具として製品化し、乗馬マシンはヒット商品になった。

 木村さんらの研究では、高齢者9人が1日15分のマシン使用を週3回、1か月半続けたところ、背筋や腹筋、太ももなどの筋力が20~60%上昇し、バランス感覚も改善した。

 一方、黒谷さんや所属事務所などは、馬や機械がなくても、むち(ウィップ)を手に乗馬に近い有酸素運動や筋トレができる「ウィップネス」を考案。今年9月末にDVDを発売した(税込み1万500円)。代表的な運動の「トロットスイング」は、乗馬中の動きを実際より大きくして、様々な筋肉に負荷がかかるよう工夫されている。

 「姿勢が良くなり、体が引き締まると、自分に対する自信が出てきて、心も生き生きしてきます」と黒谷さん。乗馬だけでなく、トロットスイングも入浴前などに実践し、心と体にさらに磨きをかけている。(山崎光祥)

馬やマシンがなくても

 〈基本姿勢〉
足を肩幅より少し広めに開き、軽く腰を落として立つ。爪先は少し外側に。

 〈トロットスイング〉
〈1〉お尻を後ろに突き出して爪先を上げ、両手を前に伸ばす。体が「く」の字になるイメージ
〈2〉腰を前に出しながら、かかとを上げ、同時に両手を後ろに引く 
〈1〉と〈2〉の動きをリズミカルに繰り返す。ポイントは、足の裏で床をなめるようにして重心を移動させ、頭の高さを変えないこと。

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