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日野原重明さんが語る

イベント・フォーラム

(1)ただ一つのバラとして自分を大切に

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読売新聞創刊135周年スペシャルフォーラム

 「創刊135周年スペシャルフォーラム」は、「自分らしさ」「がんに打ち勝つ」「艶のある人生」の3つをテーマに9月から11月まで、全国10か所で開催してきました。その中で、9月28日に埼玉県・熊谷会場で行われた聖路加国際病院理事長・日野原重明さんの講演「強い心で自分らしい生き方を」の内容をご紹介いたします。

語り手:聖路加国際病院理事長 日野原重明さん 98歳
1911年山口県生まれ、1937年京都帝国大学医学部卒業、41年聖路加国際病院の内科医となる。1998年、東京都の名誉都民、99年文化功労者、2005年、文化勲章を受章
聞き手:読売新聞編集委員 南砂(まさご)さん
1979年、日本医大卒。ベルギー国立ゲント大学留学。85年、読売新聞入社

 

 

 南:先生は医師としては早くから予防医学の重要性や終末期医療の重要性など医学・看護の教育などを力強く主張され、昔、「成人病」と呼んでいた病気を現在の「生活習慣病」という名前に改められたのも先生です。

 2000年9月にはそれまでの人生で培った経験や過去の教訓を次世代に伝えることを目的に75歳を過ぎても現役、元気で自立した人間を集めようということで「新老人の会」を結成され、その年の春から雑誌「いきいき」に、「生き方上手」という本の元となった連載を開始されます。この本を2001年11月に出版されるとミリオンセラーとなって全国から講演のおよびがかかるようになりました。これまで書かれた本は全部で200冊を超えるということです。心身両面ともに元気そのもので、元気の代名詞のような先生でいらっしゃいます。今日はその元気の秘訣(ひけつ)も含めまして、お話を伺っていきたいと思います。今日の講演のテーマとして「強い心で自分らしい生き方を」というテーマを掲げています。

 日野原:ご紹介にあずかりました、南先生とは今までしばしば講演会でお会いしてますね。日本財団が主催している死をどう生きるかという、メメントモリの会合では司会をされ、私が話すことが多かったんですね。久しぶりでお会いしましたが、先生は本当にお奇麗ですね。

 
南編集委員

 南:この通り、最初に先生はいつも私が緊張をしているのをときほぐしてくださる、心遣いをお忘れにならないのですが、先生は、読売新聞とも深くご縁があるということでそのへんからお話を伺えますか?

 もともと読売新聞の今日の礎を築いた正力松太郎という社主に先生が医師として、接触されたということでございますね。

 日野原:正力先生は読売新聞の社主として、今日のように日本だけでなく世界でも一流の新聞として発展させた恩人です、先生は84歳で心筋梗塞(しんきんこうそく)で亡くなったのですが、私は先生が心筋梗塞を患う前から主治医でした。聖路加国際病院でやっている人間ドックにも毎年入られたということで、先生の健康を保つために尽力いたしてきました。

 色々な人間が聖路加や人間ドックに入りますが、人間ドックというのは日本で初めて昭和29年に聖路加で始めました。1週間入ってチェックを受ける。2年に1回はドックに入って船体を奇麗にしてチェックをする。2年がすんだらまた遠洋航海に行くということは船では、法律で決まっている。人間には定期的にチェックするということがなかったので、始めました。

 今、民主党が政権をとりましたが、あの政党に今正力さんに匹敵するような方がいらっしゃればいいのですがね。その正力さんはまだテレビがない時に日本で最初の日本テレビをおこしました。プロの野球がなかった時にジャイアンツをつくりました。そして原子力発電が必要であると始められ色々新しいことに着手した方でもあります。

 なぜそのような発想が出てくるのかとたずねたら、「原子力のことも野球のことも素人だけど、誰が一番エキスパートなのかということを人に聞いて、第一人者を選んで、その第一人者の意見をそのまま信用してやる。勇気をもって投資するということ」とおっしゃっていました。

 今日の会合は強い心で自分らしい生き方をするということ。正力さんもまさにそういう生き方を実行された方ですが、このことは、あれだけの地位とバックグラウンドをもった正力さんだけではなくこちらに集まっていただいた方にもできるんです。

 ただひとのまねをするのではなく、世界の中で私しかこのバラの花はないんだと、一つのバラだと思って大切にやるときに正力さんの話を思いだすと、後ろからぐっと押してくれるような気がするんです。今日帰られるときのみなさんの顔は変わると思いますから、よくみなさん見ていてください。

日野原さんの講演は6回に分けて掲載しています
(1)ただ一つのバラとして自分を大切に(2009年11月24日)
(2)「葉っぱのフレディ」で、カーネギーホールの舞台に(2009年11月25日)
(3)10歳の子どもに命の授業 聴診器を使ってみる(2009年11月26日)
(4)運動を止められたら、ピアノを練習(2009年11月27日)
(5)食事は1日1300キロカロリー(2009年11月30日)
(6)生活習慣病は自分で治す(2009年12月1日)
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