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歌手 橋幸夫(はし ゆきお)さん 66

一病息災

[歌手 橋幸夫さん]母の認知症(1)介護はライフワーク

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 潮来の伊太郎 ちょっと見なれば――。

 多くの日本人の耳になじんだ昭和の代表的な歌謡曲「潮来笠」でデビューしたのは1960年。17歳で、いきなり大スターの座に上り詰めた。デビューの陰の立役者が、母・橋サクさんだった。

 中学生の末っ子が「不良仲間とつきあう暇がないように」と、作曲家の遠藤実さんのもとで歌を習わせた。もともと芸事を好み、歌手にあこがれていた母。息子に託した夢は、3年後、ビクターの新人オーディション合格という形で結実した。

 母は90年、88歳で亡くなった。その数年前から重い認知症を患い、壮絶な介護の記録が89年、「お母さんは宇宙人」として出版されベストセラーに。あれから20年。「その後の僕は、母に導かれるように、認知症をテーマにした芝居や介護の講演、啓蒙(けいもう)活動に取り組んできた。僕とはもう切っても切り離せないライフワークになりました」

 高齢化社会が進んで認知症患者は年々増え続け、今では約200万人といわれる。それに伴い、講演はすでに全国七百数十か所に及んだ。

 「母の認知症という予期せぬ出来事が、僕の人生を変えた。僕と家族の経験が、認知症や介護に直面する人を元気づけられればと思っています」

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