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一病息災

闘病記

[エッセイスト 千住文子さん]心臓弁膜症(4)再び得た命 新たな目標探す

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 退院の際、心臓外科医の南淵明宏さんからビデオをもらった。自分の手術映像だ。長女のバイオリニスト真理子さんと自宅で見た。

 人工弁に取り換えた心臓が再び動き始めるのを待つ場面では、思わず「動いてくれ~」と祈ってしまった。再鼓動すると真理子さんは「心臓がはしゃいでいる」と笑った。

 手術を乗り越えた今、高齢者医療について考える。夫は高齢を理由に手術を断られ、自分は手術に取り組んでくれる医師に出会えて助かった。

 「どうせ短い命というあきらめには賛成できない。可能性がわずかでも、それに向かって生きることほど崇高な姿はないと思う」

 そんな思いも込め、闘病体験を「千住家の命の物語」(新潮社)にまとめ、3月に出版した。「人間は何歳になってもしっかり生きなくてはならない」が持論。手術後も、入院中から病室で足踏みなどのリハビリを始め、退院1、2週間後には、炊事洗濯もこなすほど回復した。

 「再び得た命。それぞれの道で生半可じゃない努力をしている3人の子に負けないように、自分も磨かなきゃ」。今、新たな目標を探している。(文・高橋圭史、写真・飯島啓太)(おわり)

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