はつらつ健康指南
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のど刺激、しゃっくりピタッ
しゃっくりが止まらず、眠れないこともあります。どうやったら、止めることができるのですか。
胎児にも
タレントの里田まいさん(25)は子供の頃から3か月に1回ほどの割合で、しゃっくりに悩まされている。
「百回以上、しゃっくりが続くと死んじゃうと聞くけど、私は、いつも、それ以上」
舞台げいこ中、演出家から「里田!」と注意されて、「ヒック」と、しゃっくりで答えて苦笑いされたことがある。あるラジオ番組では、しゃっくりが止まった時を狙って、さっと収録する「しゃっくり止まり待ち」も。
水を一気に飲むなど、よく知られた止め方を試してみたが、効果はあまりない。ただし、コンサートの舞台では別。ステージに立った瞬間は必ず、それまで出ていたしゃっくりが止まるという。
「でも、こんなに多くしゃっくりが出る人は私の周りにいない」。里田さんが自分のブログに、しゃっくりの悩みを書き込んだら、止め方の情報がたくさん寄せられるなど反響を呼んだ。ちなみに、今月17日に発売する新曲「Don’t leave me」の録音では、しゃっくりに襲われることはなかったとか。
しゃっくりは、体内で胸と腹を隔てる横隔膜がけいれんして収縮し、同時に声帯が閉鎖することで発生する。横隔膜の収縮で急速に吸い込まれた空気が、閉じかけた声帯を通過するときに特有の「ヒック」という音を出す。
胎児もしゃっくりをするという。胎児は羊水中のゴミなどが鼻やのどに付着することがあり、しゃっくりはそれを取り除くためという学説があるそうだ。
脳が抑制
しゃっくりの研究を15年以上続ける土浦協同病院(茨城県土浦市)麻酔・集中治療科部長の近藤司さんによると、のどの上部、奥側の部分にしゃっくりを引き起こす部分があることが分かってきた。
慌ててご飯を食べたり、炭酸水を勢いよく飲んだりすると、その部分の神経を刺激し、しゃっくりが出ることがあると考えられる。
また、通常はしゃっくりが出ないように脳が抑える信号を出しているが、酒を飲んで抑制が外れると、しゃっくりが出やすくなる。左党のお父さんが千鳥足で「ヒック」と言いながら家路につく姿をよく見かけるのは、そのせいだ。
ただし、不思議なことに、しゃっくりを引き起こす部分と抑える部分は、のどの近い場所にあると考えられている。冷水を一気に飲むとしゃっくりが止まることがあるのは、その部分の神経を上手に刺激できたためと思われる。
しゃっくりは、たいていはほどなく治まるが、数日にわたってほぼ間断なく続き、眠れない、吐く、息が苦しいなどの症状がある時は、脳卒中などの病気がしゃっくりを引き起こしている可能性がある。
近藤さんは「脳の病気で35年間、しゃっくりが続いた男性を診察し、薬で治したことがある。心配な人は、脳の病気など幅広い分野の患者を診ることができる『総合診療科』を受診して」と話している。(坂上博)
成功率7割「舌を引っ張る」
土浦協同病院の近藤司さんが勧める方法。一つ目は「耳を指で押さえる方法」。爪を切った左右の人さし指で、両耳穴を30秒間、痛みを覚えるほど強く押さえる(イラスト〈1〉)。中耳炎など耳に病気がない人向き。
二つ目は「舌を引っ張る方法」。乾いたガーゼのようなもので舌をつかみ、30秒ほど強く引っ張る(イラスト〈2〉)。
成功率は7割ほどという。ただし、心筋梗塞(こうそく)の経験者やぜんそくの持病がある人などは、痛みをきっかけに発病する可能性があるので、やめてほしい。
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