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はつらつ健康指南

健康・ダイエット・エクササイズ

自転車、つらさなく効果大

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ヘルメット姿でさっそうと。都内の移動は自転車を利用するという、経済評論家の勝間和代さん=吉川綾美撮影

 健康にいいという自転車だけど、ゆっくり走ると歩くよりラクをしている気がする。どう乗ったら、いいの?

心肺機能18歳並み

 「うちは坂の上にあるので、どこへ出かけても最後は上り坂。夏は汗だくになります」

 こう話すのは、テレビでもおなじみの経済評論家、勝間和代さん(40)。東京都内の自宅から事務所まで、さらに都内での移動の多くで自転車を使う。1日の走行距離は20~30キロという。自転車に「目覚めた」のは、外資系コンサルティング会社に勤めていた8年前。超多忙でスポーツクラブにも通えず、運動不足に悩んでいた時、自転車通勤を勧める本を読み、すぐ実行に移した。結果、体重は6キロ減、心肺機能は「18歳並み」に。

 「そりゃ、それだけ乗れば効果もあるでしょう」と言うなかれ。勝間さんほど乗らなくとも、健康効果を得ることはできるのだ。

 まず、ほかの運動に比べ、自転車はどこが優れているのか。高石鉄雄・名古屋市立大大学院准教授(応用生理学)は、「最大のメリットは、けっこうきつい運動なのに、つらく感じないことです」と説明する。

 自転車を時速16~17キロぐらいの速さでこぐと、若い女性でも1分間の心拍数が140を超える。ウオーキングに比べて30拍ぐらい多い。スポーツクラブの自転車マシンだと、汗だくになって20分でも嫌になるレベルだ。しかし、外を走れば、風で体の熱が冷まされることもあり、しんどさをあまり感じずにすむ。そのため、高齢者や太った人でも取り組みやすい。

血糖値も低下

 国内に約2000万人いるとされる糖尿病患者と予備軍には特にお勧めだ。

 体内では、血液の中の糖質(血糖)と脂質が筋肉に取り込まれて燃え、運動のエネルギーになる。軽い運動の場合、使われる糖質と脂質の割合はほぼ1対1。激しい運動になるほど、糖質の割合が増える。さらに、自転車は、太ももの筋肉を主に使うため、局所的に大きな負荷がかかる。すると糖質がより多く使われ、効率よく血糖値を下げることができる。また、悪玉コレステロールを下げる効果もある。中高年では180から年齢を引いたぐらいの心拍数を目安にしよう。きつくなりすぎないよう、時々心拍数をチェックすることが大事だ。

 「坂を含むコースを、それなりの速さで、最低20分ぐらい走るのがいい。自転車通勤がぴったりだが、週に2、3回でも大丈夫」と、高石准教授は指南する。

 「呼吸に気をつけると、疲れずに長く走れます」とアドバイスするのは、自転車歴50年という日本サイクリング協会の小林博さん(60)。まず、呼吸と同じタイミングでペダルを踏むよう意識する。息を吐く時に足に力が入るので、「スッスッハッ」と2回鼻から吸って口から吐き、左右の足、交互に力がかかるようにするとよいという。

 もちろん、自転車で怖いのは事故。「左側通行、信号は守る、など交通ルールを守りましょう」と、小林さんは呼びかけている。(針原陽子)

上り坂だと効率よく

 自転車で健康効果を出すには、上り坂を走行するのがよい。1%の傾斜の坂道(100メートルで1メートル上がる)でも、エネルギー消費量は平地の1.7倍、2%だと2.3倍になる。ひざ関節への負担が気になる人は、軽いギアで走っても、回転数を上げれば、健康効果は変わらない。

 また、停止、発進を繰り返すのも好ましい。走り出しの時は、走行中に比べ、筋力を多く使うためだ。

 スピードは、ママチャリなら、高齢者で時速14~15キロ、中年なら16~17キロぐらい。スポーツ車なら、その8~10キロ増しぐらいで。

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