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一病息災

闘病記

[演歌歌手 宮路オサムさん]急性膵炎(1)薄れゆく意識に「覚悟」した

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 前兆は、1年ほど前からあった。体がだるく、歌に集中できない。「医者に診てもらっても原因が分からず、毎日、中ぶらりんな気持ちを抱えて過ごしていました」

 不安が的中したのは一昨年の4月。地方でのコンサート開始30分前。いつもなら緊張で張りつめている時間に、ソファでぐったり横になり、スタッフを驚かせた。終了後、スタッフに缶ビールを3本買いに行かせたのに、なぜか1本も口にしなかった。

 翌日はNHKの仕事があるため、帰宅後、風呂に入り、午後10時にはベッドに入った。間もなく、背中に痛みを感じ、体が震えだした。立っていれば痛みは消えるが、横になると痛み出す。

 「寝室を出たり入ったりを繰り返した後、『これはおかしい』と女房に病院へ車で運んでもらったんです」

 病院では即入院を言い渡された。「『明日の仕事が午後4時に終わるので、それから入院します』って言ったら、ひどく怒られました」

 エコー検査などを受けるうち、意識は次第に薄れていった。「大変だ。ここで止まってくれ」。医師たちの緊迫した声を遠くに聞きながら、「ああ、おれは死ぬんだな、と思いましたね」

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