文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

一病息災

闘病記

[女優 秋吉久美子さん]看取る(8)がん告知すべきか…

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 「母の気持ちを守ろうと、病気を隠したけど、正しかったのか。私たちはみんなで、泣かないぞっていうことにしてしまったんですから」

 がんを隠すと、患者や家族が共に泣く機会を封じることになる。避けがたい喪失や別れの悲しみ。涙は、時と共に洗い流す一歩にもなるのだが。

 「母を抱きしめて、『膵臓(すいぞう)がんよ』って伝えて、二人で泣いた方が良かったのかもしれない。みんなで裸になって泣き合えて、泣いちゃう分だけ、ストレスがなかったかもしれませんね」

 進んだがん。初めに知らされた家族は、患者を守るために、しばしば隠そうと考える。それを避けるため、まず本人に伝えるべきだという考え方が医療現場に広がっている。

 「隠すことで家族の心も追い詰められます。医師や看護師さんにはできる限りの力を尽くしていただいて、感謝しています。ただ、終末期を専門的に支えてくれるシステムがあれば、告知もあり得たのかもしれません」

 母を看取って1年が過ぎた。残された家族の心の振り子は、今もまだ鎮まらない。(文・渡辺勝敏、写真・今利幸)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

一病息災の一覧を見る

最新記事