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一病息災

闘病記

[女優 秋吉久美子さん]看取る(7)最後に母に「ごめん」

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 膵臓(すいぞう)がんの母に、「胆管炎」と伝えてきたが、何かを悟っているようにも見えた。

 「最後のころ、『あなたは懺悔(ざんげ)しなきゃいけない』って、母にいきなり言われました。『でないと、あなたが一生苦しむことになる』って。うそをついていることを謝れっていうことです。みんなの顔色、しゃべり方、次々に起こる体の不調を見て、やはり思うことがあったのでしょう」

 秋吉さんは母の言葉をきっぱりとうち消した。

 「懺悔することはないわ。あなた(母)を守るために言わなかったこともある。だけど、守るためなんだから、苦しまない」

 「守る……」。母まさ子さんは聞き返してから、病名について一切話題にしなくなった。

 「母も悲観的になったり、楽観的になったり、揺れ動いていたと思うんです。でも、『守る』という言葉で、全部が見えたんだと思います」

 亡くなる2日前、母はほとんど意識を失っているように見えたが、聞こえるかもしれないと思い、最後に謝った。

 「ごめんなさい、どうしても言えなかったの、って。ここまできたら、その方が、ほっとしてもらえるかと思いました」

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