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一病息災

 メディアなどでお馴染みの芸能人、有名人だって、一人の人間として病気や心身の不調と向き合っています。苦しかった経験や、病によって気付かされたことなど、率直な思いをお聞きします。

闘病記

[女優 秋吉久美子さん]看取る(5)精いっぱい素人芝居

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 がんの告知は定着してきた。その理由のひとつは、患者が、最も頼りにしているはずの家族と医師の言葉を、「なにかおかしい」と感じて信じることができなくなり、孤立してしまうからだ。膵臓(すいぞう)がんの母まさ子さんは小康状態を得てから、再び倒れ、昨年1月に入院した。

 「家族のだれかがいつもついていて、病室では『今日はどう?』なんて、明るい声で意識して会話をしました。やり直しのきかない精いっぱいの素人芝居。でも、母はどこかで知っていたと思うんです。何度も『私のほんとうの病名は何なの?』って追及されました。そのつど、『胆管炎でしょ』って答えていましたが」

 そこで医師とも相談して、もし本人が病名を尋ねてきたら、答えてもらうことに話を決めていた。しかし、母が医師に直接、質問することはなかった。

 「お医者さんに聞くのは怖かったんだと思います。妹に聞けば、混乱するし、それでいつも私に聞いてきたんです。みんなで、本人にがんを隠す。けっして達成感が得られない大プロジェクトのようなものでした。家族にとっても苦しくて、これがいいことなのかとずっと思い続けていました」

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