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肺化膿症が治らない…最終手段は手術?

 血痰が続いたので肺内視鏡やCTガイド生検などで検査した結果、左肺の下葉が「肺化膿症」と診断されました。点滴治療を行っていますが、1か月が経過し抗生剤も3種類使いましたが症状が良くなりません。最近、胸腔鏡手術にて病変部を取り去るしかないとの話が出てきました。肺化膿症とはどんな病気でしょうか。最終手段は手術しかないのでしょうか?(77歳女性)

高熱などの症状が続く場合などで肺切除の必要も

吉村博邦 北里大学名誉教授、公益社団法人地域医療振興協会顧問

 肺化膿症は、肺炎と同じく細菌による肺の炎症ですが、肺化膿症では炎症はより激しく、肺組織が破壊されて(壊死に陥って)空洞になり、そこに膿が貯留した状態です。空洞になると血流がないために薬剤が到達しにくく治りも極端に悪くなります。ご質問の方は、急性期ではないものの、空洞があり、膿が貯留している状況であろうと推察されます。

 肺化膿症の原因としては、通常の肺炎を起こす細菌によるもののほか、う歯(虫歯)や歯槽膿漏(のうろう)に伴う口の中の雑菌(嫌気性菌と呼ばれる細菌)や、食物のかすなどを誤嚥することで発症する場合も少なくなく、従って、特に、嚥下機能が低下した、ご高齢の方、お酒飲み(酔って寝込んでしまう人)、脳卒中による麻痺のある方、また、もともと肺の病気があって肺が脆弱(ぜいじゃく)な方、また、糖尿病や免疫力が低下している方、肺癌で気管支が狭くなっている方などにも発症することがあります。稀ですが腹部や骨盤内の炎症から血流にのって細菌が肺に到達する場合もあります。

 症状は、高熱、膿痰、血痰、時に胸痛などで発症し、胸のレントゲンで空洞、あるいは膿の貯留した塊状の影が認められます。

 大半は、感受性のある抗生剤投与(最初は点滴で、症状が落ち着けば経口薬)で、2~3か月で症状は治まり、空洞も消失し治癒します。しかし、耐性菌や気管支狭窄などのために、高熱などの急性期症状が治まらない場合には、外から空洞に管を挿入して膿を体外に排出したり、止むを得ず肺切除が必要になったりすることがあります。

 また、急性期を脱したものの、壁の厚い空洞(病巣)が残り、微熱や血痰などの原因となったり、気管支の狭窄があったりする場合などでは、空洞を含めた肺の切除が必要となることがありますので、主治医と良くご相談下さい。

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