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母子手帳10年ぶり改訂 最高の育児本、夫婦で熟読
母子の健康を守るため、妊娠した母親に市区町村が交付する母子健康手帳(母子手帳)。その内容が今月、10年ぶりに大幅に改められた。難病の早期発見のために赤ちゃんの便の色見本を載せたり、両親が育児に積極的に取り組めるように自由記入欄を増やしたり。手帳を上手に活用し、健康管理や育児に役立てたい。
母子手帳は母子保健法に基づき、市区町村に妊娠を届け出れば、無料でもらえる。妊婦や就学前までの子どもの健診結果や予防接種などを記録でき、食事の目安や子どもの発育に応じた育児方法、事故予防などの情報も載っている。
厚生労働省によると、母子手帳の元となる「妊産婦手帳」ができたのは1942年。65年に母子保健法が制定され、現在の母子手帳が制度化された。同省が、医療の発展や母子を巡る環境の変化などを踏まえながら、ほぼ10年ごとに手帳の内容を改訂している。
手帳前半には、健診の記録欄など同省が省令で定めている全国共通の内容が載り、後半部分には、同省の示した例を参考に、市区町村が育児の注意点などの情報を独自にまとめている。
今回の改訂で注目されるのは、生後すぐ治療すれば改善が見込まれる「胆道閉鎖症」の早期発見のため、赤ちゃんの便の状態を示す7色の見本を掲載したこと。保護者が見本と見比べ、便の色で赤ちゃんの健康状態を確認できる。
また、高齢の妊婦が増えていることなどを受けて、妊娠中に医師に相談すべき具体的な症状が掲載され、自分の健康管理を主体的に行えるように自由記入欄が大幅に増えた。妊娠中の自由記入欄は、2か所から9か所に増え、子どもの誕生日に両親がメッセージを書く欄も新しくできた。
日本子ども家庭総合研究所(東京)名誉所長の柳沢正義さんは、「自由記入欄には、体調で気になることや、赤ちゃんへの夫婦の気持ちを書き留めておくとよい」と話す。医師に尋ねたいことを手帳に書いておけば、健診の際に忘れない。また、父親も我が子への気持ちを書いておけば、親の自覚が芽生えるという。
4月下旬、千葉市で第2子用に新しい母子手帳を受け取った女性(32)も、「子どもに伝えたい気持ちなどを手帳に書き留めておきたい」と話す。
柳沢さんは「母子手帳は、母親のSOSを周囲に気付かせる役目も果たす」と指摘する。新しい手帳では、子どもの発育を記録する欄に、「相談相手の有無」「不安や困難を感じるかどうか」などの質問項目が増え、手帳を見た医師や助産師が、母親のSOSに気付いて支援しやすくなる。
松平小児科(東京)院長の松平隆光さんは、母子手帳について、「厳選された重要な情報が詰まった最高の育児バイブル。夫婦で熟読してくだい」と助言する。そして、「命の誕生と成長の記録でもある。大きくなった子どもと一緒に手帳を眺めると、命の大切さを語り合うきっかけにもなります」とも話している。
活用のコツ |
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・自由記入欄や余白には、体調など気になることを書き込もう。健診の時、医師や助産師などに質問するのに役立つ。 ・健診や予防接種など医療機関を訪れる時は必ず持参し、必要に応じて医師などに記入してもらおう。初診でも、医師などに過去の健康状態などを伝える手立てになる。 ・情報のページにも目を通そう。多くの自治体は、妊娠中に注意すべきことや相談窓口の連絡先、乳幼児の心肺 ・予防接種の記録は公的な記録になるので、子どもが成人するまで保管しよう。 ・子どもが大きくなったら見せてあげよう。命の大切さを、親子で語り合い、学ぶきっかけにもなる。 (柳沢さん、松平さんの話をもとに作成) |
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