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はつらつ健康指南

健康・ダイエット・エクササイズ

「塩麹」は万能調味料

和洋中問わず 肉質を軟らかに

塩麹セミナーで発酵食品料理家の石井千秋さん(右)が作る料理に見入る参加者たち(東京・台東区で)

 米(こうじ)に塩と水を混ぜて簡単に作れる調味料「塩麹」が人気を集めている。和・洋・中、様々な料理に使えるので経済的だ。肉を軟らかくしたり、食品の日持ちを良くしたりする効果もあるそうで、使いこなせば、家計の強い味方になってくれそうだ。(経済部 竹内和佳子)

塩代わりに

 「(こうじ)屋本店」(大分県佐伯市)のおかみ、浅利妙峰(みょうほう)さんは、各地で料理講習会を開いたりして、今の塩麹人気の火付け役となった。浅利さんに、塩麹の作り方を教わったので、別稿の「作り方」を見て参考にしてほしい。ポイントは、米麹3に対し、塩1、水4弱の割合で混ぜること。

 浅利さんによると、塩麹は素材の(うま)みを引き出してくれる万能調味料で、使い勝手は塩に近い。目安として、浅利さんは「食材の10%の重さ」の塩麹を使うことを薦める。料理の塩分濃度が人間の血液とほぼ同じに仕上がるため、おいしく感じられるという。

 東京農業大醸造科学科の前橋健二准教授によると、塩麹に含まれる酵素の働きにより、食材の旨みが増したり、肉質が軟らかくなったりする効果は実証済みという。食材に塩麹を塗って数十分~一晩ほど置いてから調理すると、寝かせている間に酵素が働くため、効果的という。また、含まれた塩分が食材の日持ちも良くしてくれる。

料理教室で体験

 自分で作る前に、まずは塩麹の魅力を体験してみたいという人もいるだろう。そんな人には、塩麹をテーマにした料理教室が、お薦めだ。日頃は飲食店に対してメニューの提案などを行っている「フード企画・141」(東京・台東区)は、都内で毎週月曜日に「塩麹セミナー」(参加費3000円)を一般の人向けに開いている。講師が作った塩麹を使った料理をフルコースで試食しながら、塩麹の使い方を学べる。

 無添加・無農薬の食材を使った料理教室を開いている「タカコ・ナカムラ ホールフードスクール」(同・大田区)では、都内で月に4~5回ほど、1回完結型の「塩麹講座」を開催している。調理実習があり、初級編(参加費3150円)では、実際に塩麹を作るところから始める。

パスタやパンにも

 塩麹を使っていることをウリにした料理を出す飲食店も増えている。昼はカフェ、夜はバーになる「プロント」では、塩麹を使ったパスタ2種を出しており、3月以降は、この2種に代わって、「鶏そぼろとマスカルポーネの塩麹トマトソース」(790円)が登場する。パスタ以外では塩麹を使ったシーフードマリネも好評で、こちらは継続販売する。

 ファミリーレストラン「デニーズ」の、「四元豚(よんげんとん)の塩麹焼き(ぜん)」(1080円)は、塩麹に漬け込んだ豚ロース肉を焼いたもの。コクのある味わいだ。この家計の知恵でも「大研究 グルメ産業」で紹介した。

 都内や埼玉県を中心に約40店があるパン屋「サンメリー」では、生地に塩麹を練り込んだ「紅塩麹食パン」(1斤280円)や「塩麹あんぱん」(140円)などをそろえており、3月1日には塩麹を使ったフランスパンを発売予定だ。

塩分、塩の4分の1

 【豆知識】生の米麹は、全国に1200軒ほどある麹店などで買える。また、手持ちのレシピの「塩」を「塩麹」に置き換えて料理する場合は、塩の2倍の量の塩麹を使うとよい。塩分が気になるかもしれないが、実は塩分は塩を使った場合の4分の1に抑えられるため、「病人食にもお薦め」(浅利さん)という。

塩麹の作り方
材料=米麹(生)500グラム/塩(海塩)170グラム/水650グラム
作り方
《1》米麹をボウルなどに入れ、1粒1粒パラパラになるまで、手でもみほぐす。
《2》〈1〉に塩を入れて、手でギュッギュッと握りながら、よくもむ。
《3》しっとりして握った時にまとまるようになったら、水を注いで、手ですりあわせる。
《4》〈3〉を保存容器に入れて、1日1回、天地を返すようにかき混ぜながら、常温で1週間から10日ほどおく。麹が軟らかくなれば、出来上がり。冷蔵庫で半年ほど保存できる。

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